愛知民報

【10.04.18】名古屋港 暴走する大型開発 民主党政権 スーパー中枢港湾を国際戦略港湾・ハイパー中枢港湾に 名古屋港

巨大コンテナターミナルを整備

コンテナターミナル=飛島村
 民主党政権のもと、名古屋港の「国際戦略港湾」化を起爆材に県内の大型開発を促進する動きが出ています。
 旧自公政権は2005年に京浜港(東京・横浜)、伊勢湾(名古屋・四日市)、阪神港(大阪・神戸)を「スーパー中枢港湾」(スパ中)に指定。コンテナターミナルの整備を集中的に行いました。
 民主党政権は、「国際競争力の強化」を名目に、スパ中港湾をさらに絞り込み、巨大な“アジアのハブ港”をつくる「国際戦略港湾・ハイパー中枢港湾」(ハイ中)の選定をすすめています。中部財界・神田県政・河村名古屋市政は名古屋港をハイ中に決定させようと動いています。
 名古屋港管理組合などがまとめた「国際コンテナ戦略港湾の選定に向けた計画書」によると、「日本の真ん中と言う地理的特性」と「産業物流ネットワークの強み」を活かし、全国のコンテナを伊勢湾に集中させるという考えです。
 しかし、名古屋港は自動車産業に依存しているのが実態。全国からの集荷は空論です。
 港湾民営化の話も出ています。コンテナふ頭を運営する名古屋港埠頭公社を株式会社化し、コスト削減をはかるといいますが、肝心の貨物が増える保障はありません。
 ハイ中には大型コンテナ船が着岸できる岸壁が必要とされます。水深16メートルの飛島ふ頭を18メートルまで掘り下げ、必要な航路をつくる費用は600億円。大量に出るしゅんせつ土砂を中部国際空港隣接地に投入し、2本目滑走路の建設につなげる構想が出ています。

名古屋環状2号線(西南部)も凍結解除

 国土交通省は9日、「検証中」だった名古屋環状2号線西南部(名古屋西~飛島12キロメートル)を有料道路として建設する方針を決めました。中部財界・県・名古屋市は名古屋港への広域アクセス道路として着工を働きかけてきました。

 昨年の総選挙で「公共事業の見直し」をかかげた民主党政権は、環2西南部を「凍結」する態度を見せましたが、結局“解凍”。自民党政治の大型開発路線を継続します。

 「環2問題懇談会」事務局長の篠原正之さんは「自動車産業とゼネコンが喜ぶだけです。環2のバイパス効果は一過性。渋滞解消には役立たない」と言います。

山口清明 名古屋港管理組合議会議員の話

 大水深の岸壁を掘る必要はありません。高速道路を使い、国内の海運貨物を無理やり集中し、巨大な船で運ぶ構想は間違いです。近・中距離の直行便を運航するのが世界の流れです。港湾民営化も大問題。地元港湾業界から疑問の声が出ています。国策で港湾に競争を押し付ける発想を変える必要があると思います。