愛知民報

【10.02.21】後期高齢者医療制度 廃止の願いに背を向け 民主、自民、公明の各党議員 保険料値上げ強行 県広域連合議会

日本共産党は反対

 愛知県の後期高齢者医療広域連合議会が10日、名古屋市内で開かれ、今年4月からの保険料値上げが決まりました。一昨年から導入された同制度の保険料は2年ごとに高齢者人口や医療給付費の変化に応じて改定する仕組みです。

 今回の改定(2010、11年度分)で1人当たりの保険料平均額(年額)は7万7658円、現行より3660円(4・95%)高くなります。

公約違反の民主党

 鳩山首相は通常国会の施政方針演説で「命を守りたい」と強調しながら高齢者を差別する後期高齢者医療制度の廃止を4年後に先送りしました。

 長妻厚生労働大臣は保険料の負担軽減策を実施すると表明しましたが、政府の2010年度予算案には保険料抑制のための国の負担を盛り込みませんでした。

 このまま制度を続ければ高齢者人口の増加などから2年後の値上げも予想されます。

剰余金を充てろ

 愛知県の広域連合は保険料の値上げを当初12%と試算。財政安定化基金を活用し5%未満に抑えたとしています。

 日本共産党の田口一登議員(名古屋市議)は、保険料の値上げに反対し、後期高齢者医療制度のすみやかな廃止を要求。反対討論で保険料を据え置いた福井県などの事例を紹介し剰余金20億円を充てて据え置くよう強く訴えました。

無保険者増加も

値上げの民主議員
 県広域連合議会(定数34人)にいる4人の民主党議員は全員が自民、公明の議員らとともに保険料値上げに賛成しました。
 同議会に愛知県社会保障推進協議会は、保険料の据え置きや県独自の減免制度を求める請願書を提出しましたが同請願の紹介議員になったのは田口議員だけ。

 議会の審議を傍聴していた男性(76)は「総選挙の時に民主党が言っていた話と全く違う。公約どおりに制度は直ちに廃止すべき」と怒ります。

 保険料が払えず、正規保険証(有効期間1年)より有効期間の短い「短期保険証」の発行が昨年12月末現在403人にのぼっています(別表に市町村別一覧)。

 「連絡がつかない」「呼び出しに応じない」などの理由で手元に短期保険証が渡っていない無保険状態の人も21人います。

 田口議員は、「無保険状態で放置しておくことは命に直結する。直ちに保険証を手渡すよう市町村を指導せよ」と追及。広域連合は「保険証を持っていない事例がないよう指導する」と約束しました。

 現在の正規保険証の有効期限は今年7月31日。今回の保険料値上げにより滞納者が増えると、8月1日からの保険証更新時に短期保険証や無保険状態が広がることが懸念されます。

短期保険証発行状況







市町村名 09年12月末
名古屋市 6
岡崎市 37
瀬戸市 18
半田市 22
豊川市 30
刈谷市 26
豊田市 121
安城市 3
西尾市 2
蒲郡市 16
小牧市 12
稲沢市 2
東海市 11
高浜市 9
岩倉市 7
豊明市 6
日進市 7
愛西市 9
弥富市 5
みよし市 4
東郷町 4
長久手町 2
七宝町 5
甚目寺町 15
大治町 9
阿久比町 1
美浜町 4
武豊町 6
幸田町 4
合計 403