愛知民報

【09.12.06】瀬戸市で産業廃棄物処分場計画 予定地は水道用水取水口から100メートルのところに

 馬ヶ城上水道につながる水源の貯水池
 瀬戸市山路町で巨大な産業廃棄物の埋め立て処分場の建設が計画されています。東海環状自動車道せと赤津インターの近くで、同市に飲料水を供給している馬ヶ城浄水場につながる水源地の取水口から約100メートルの地点。産廃処分場の建設で同市の貴重な水源地が汚染されないかと心配する声があがっています。

 処分場を計画しているのは東立テクノクラシー。埋め立て面積は5万8186平方メートル。埋め立て容量は86万2600立方メートル。ナゴヤドーム6個分と巨大です。隣接する既存の施設を含めると県内で5番目の規模といわれます。

 埋め立て地からしみ出る水を遮断するためにゴム製シートを敷き詰める「管理型」で、無機性汚泥、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類が処分の対象とされています。重金属類などの環境汚染物質が飛散したり、排水に混入する不安も。

 瀬戸市では2002年に施行された「瀬戸市産業廃棄物関連施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する条例」(産廃条例)にもとづき、業者は県に申請する前に事業計画書と環境保全対策書を市長に提出しなければなりません。業者は30日間の縦覧期間中に関係地域内で説明会を開くことになっています。

 今回の関係地域は処分場周辺にくわえて、馬ヶ城浄水場が飲料水を供給している地域も含めた18の小学校区。12月上旬から1月中旬にかけて説明会が計画されています。

 住民は環境保全上の見地から「処分場は認められない」という意見書を提出することができます。業者と住民との間で合意ができた場合は、環境保全協定を結ばなければなりません。不調の場合は市長にあっせんを申請することができます。

 しかし、市ができることは“あっせん”まで。産廃処分場建設の許認可の権限を握っているのは愛知県です。

 日本共産党瀬戸市議団は産廃条例の制定に力を尽くすとともに、住民といっしょになって、産廃処分場計画4つのうち3つを中止に追い込んできました。

 同市議団は「貴重な水源地を汚染しかねない産廃処分場の建設は認められません。市の水源がもし使えなくなれば、その分を県営水道を買うことになり、水道料金値上げなど市民に負担を押し付けることにもなりかねない」と話しています。

【瀬戸市の水道】

 1933年から給水開始。水源の3割は市内にある河川表流水や地下水。馬ヶ城浄水場は市内にある3つの浄水場のうち最古。市役所から名鉄尾張瀬戸駅周辺の瀬戸川流域の地区に給水。日給水量2419立方メートル(2008年度)。