愛知民報

【09.10.25】深刻さ増す雇用破壊 再び「派遣村」か

 昨年の「非正規切り」から1年。名古屋市では失業手当も切れ、貯金もなくなった人たちが職も住居もなく、路頭に迷う事態が広がっています。
 

生活保護受給増

 名古屋市の生活保護受給世帯は昨年秋から増加、今年4月末の2万5257世帯から7月には2万7085世帯となり、15カ月連続増加です。

 同市の健康福祉局保護課は「8、9月の保護世帯は未集計だが、増加が予想される」と話します。中村区役所では「9月頃から生活保護の相談や申請に訪れる人が増えた。迅速に対応ができるよう保護施設のある他区への紹介もしている」といいます。

炊き出しに列

 中村区役所前では、昼に、おにぎりやみそ汁を配る「おにぎりの会」の炊き出しに100人を超す人たちが並んでいます。

 おにぎりを受け取った男性(31)は「5日前に保護の申請をした。決定が出るまで半月くらいかかる。炊き出しは助かる」、自動車関連の会社に勤めていた男性(39)は「7月に家賃が払えなくなりアパートを出た。今は仕事を探しながら深夜営業の店に泊まっている。寒くなる前に就職し住むところを決めたい」と話します。

仕事がない

 愛知労働局が10月2日発表した8月の雇用保険(失業手当)受給者は5万8487人。

 担当者は「派遣など非正規の保険給付は昨年末から今年3月に集中した。4月以降は中小企業の倒産の増加では正社員の受給が増えた。勤続期間が短い若い人は90日の給付期限が過ぎつつある。長期勤続で高齢の人も最長330日なので年末にかけて給付が終る」と心配します。

 受給者数が7・8月に減ったのは、雇用状態が改善したのではなく、給付期限が切れたことによるものと見られます。

 県内の8月の有効求人倍率は0・47倍。2人に1人しか就職先が見つかりません。

 名古屋市中村区のハローワーク(公共職業安定所)を訪れた男性(37)は「11月で失業手当が切れる。早く仕事を探さねばと焦るが求人は営業やサービス業ばかり。建設現場で働いていた自分に向く仕事がない」。自動車部品会社で働いていたという青年(29)は「4月に契約期間が切れ失業。失業手当も7月で切れた。山形県の親から部屋代とか米とか送ってもらって生活している。故郷に帰っても仕事がないので愛知県で何とか仕事を探したい」

生活不安7割

 生活不安を感じている人が7割――。内閣府が9月に発表した国民生活に関する世論調査の結果です。

 68・9%が「日常生活で悩みや不安を感じている」と答えています。「感じていない」30・4%の2倍以上です。悩みや不安の内容(複数回答)は「老後の生活設計」が54・9%で最多。「自分の健康」49・2%、「今後の収入や資産の見通し」43・9%、「家族の健康」41・4%と続きます。

対策を早く

 「派遣切り」された人たちを支援してきた日本共産党のかわえ明美参院比例代表予定候補者は「冬の前に救援が必要です。給付延長など雇用保険の緊急拡充、住居の確保などの生活支援を実施させるため国、自治体に交渉していきます」と語っています。