愛知民報

【09.05.31】新型インフルエンザ 苦悩する保健所 予算・人員削減 求められる体制強化

 16日に国内初の新型インフルエンザ感染者が確認され、愛知県でも感染が心配されています。

 新型インフルエンザ対応の原則は「熱が出たらまず電話で相談」。しかし、相談を受ける保健所の発熱相談センターは、名古屋市内17カ所、同市外16カ所にすぎません。相談電話が殺到し、センターはてんやわんやです。
厚生労働省東海北陸厚生局に申し入れ=5月22日

相談殺到

 名古屋市や豊橋、豊田、岡崎各市を除く地域の保健所は県の担当です。

 「朝9時から夜7時まで電話相談を受けています。関西地方で感染が広がった先週は『出張で大阪から帰ってきたが少し熱がある』など相談が殺到。昼食も取れませんでした」(尾張地方の相談センター)

 「午後9時まで相談を受けていますが、時間外も対応するため転送電話で相談を受けます。ゆっくり自宅で休めません」(三河地方の相談センター)

 「保健師が対応をしているため健康相談会など他の業務に支障が出始めている」(尾張地方の保健所)

予算バッサリ

 愛知県は、1999年以降3回に及ぶ保健所の再編・統廃合をおこないました。98年に22あった保健所は、現在12保健所9分室に。分室は窓口業務のみ。発熱相談センターの機能はありません。

 県の保健所の予算は、04年度約45億円から09年度は約32億円と3分の2に、職員数は04年度434人が09年度347人に減らされています。この削減予算には、県議会のオール与党が賛成しています。

国政の問題

 保健所縮小の背景には、政府が94年に保健所法を廃止し、地域保健法を制定したことにあります。

 保健所の設置基準を10万人から30万人規模に緩和し、公衆衛生の国の責任を投げ捨てました。同法に反対したのは日本共産党だけでした。

 病院のケースワーカーの経験があり、衆院議員時代に厚生労働委員だった、せこゆき子日本共産党比例東海ブロック候補は言います。「法案審議で国は『伝染病の時代は終わったから、保健所の役割も変わる』と言いました。しかし今回のように感染症の危険は全く減っていません。迅速に的確に対応できる地域密着型の保健衛生体制を強化すべきです」

対策委員会設置 日本共産党

 日本共産党愛知県委員会はせこ氏を責任者に新型インフルエンザ対策委員会を設置しました。

 せこ氏らは22日、厚生労働省東海北陸厚生局長と神田真秋愛知県知事に対し、発熱相談センターの相談時間の延長、発熱外来と感染症指定病床の増設、医師・看護師の確保など新型インフルエンザ感染予防強化を申し入れました。