愛知民報

【08.06.01】中部国際空港 需要不振 県営名古屋空港 赤字続く 

 この2月に開港4年目をむかえた愛知県営名古屋空港は、旅客数が伸びているものの、昨年度1億8千万円の赤字が出る見通し。収入増へ民間定期便の増発が期待されますが、国内線の旅客数が落ち込んでいる中部国際空港側からブレーキがかかっています。

 赤字の県営空港、経営基盤の弱い中部空港―。「1都市2空港」の矛盾があらわになっています。

 2005年2月、中部国際空港の開港にともない、名古屋空港の設置管理者は国土交通省から愛知県に移りました。国際線の全路線と国内線の主要路線は中部国際空港に移り、県営名古屋空港に残されたのは「コミューター機」と呼ばれる小型旅客機の定期路線。

 現在、ジェイ・エア社が座席数50の小型ジェット機を9路線に就航させています。その3分の2にあたる6路線は中部空港からも出ています。福岡線は、中部空港から1日17往復、県営空港から1日5往復運航されています。

 05年の“万博特需”が去った後、需要停滞に悩む中部空港会社は、県営空港との“競合”路線を「整理」するよう県に迫りました。

 これについて県航空対策課は本紙に「福岡線に関しては中部空港会社との話し合いで『1日5往復程度』とすることとした」と、枠をはめられたことを認めました。

 中部空港側からの“圧力”の背景には、2本目滑走路計画があります。中部空港の国内線旅客数の07年度実績は旧名古屋空港の実績を下回りました。2本目滑走路実現のために、県営空港を食っても需要増を図りたいという思惑が見え隠れします。

 中部空港と県営空港との“客の争奪戦”が激化しそうです。

あぶない 無謀開発 軍用拡大 日本共産党が指摘

 「1都市2空港」を満足させる航空需要がこの地方にあるのかどうかが問われています。

 中部国際空港建設計画の当時、「1都市2空港」論で中部国際空港建設を推進した神田県政にたいし、県議会で「そもそも2つの空港を支えるだけの航空需要はない」と批判した日本共産党の卓見が注目されます。

 同党の林信敏県議(当時)は「コミューター路線を中部国際空港に移せば名古屋空港が旅客空港として成り立たず、コミューター路線を名古屋空港に残せば中部国際空港の路線展開は貧弱になる」と矛盾を指摘しました。

 いま、同氏はつぎのように話しています。

 「中部空港の2本目滑走路建設は無謀です。県営空港の民間機の利用が減ると、収入面でも自衛隊依存度が高まります。県営空港の管制塔の基地側移転計画は軍事優先体制の確立をねらうものです。県民は、名古屋高裁のイラク派兵違憲判決をいかし県営空港の違憲使用を許さず、平和利用を求めています」