愛知民報

【08.02.10】公立尾陽病院を守ろう 海部東部4町 医師確保へ住民、労組、議会動く

 医師不足からベッド閉鎖、診療科休止など病院機能の縮小が深刻化しているなか、地域ぐるみで「医師を確保して病院を守ろう」という運動が起きています。

 海部郡東部4町(甚目寺町、美和町、大治町、七宝町)が運営する公立尾陽病院は2005年に医師不足から産科・小児科の入院が廃止されました。現在、4町内にはお産や人工透析ができる病院がなく、患者は名古屋などに出かけなければならない事態となっています。今年4月以降、医師の退職などでさらに医師不足が予想されています。

 海部・津島地域では、同病院と津島市民病院、海南病院(弥富市)が、入院が必要な患者を受け入れる二次救急医療をしてきましたが、開業医からの紹介患者の受け入れも困難になってきています。

 4町の住民有志でつくる「尾陽病院を守る会」と公立尾陽病院職員労働組合の人たちは3日、節分でにぎわう甚目寺観音に近いスーパー前で、県知事にたいし「緊急に公立尾陽病院への医師の確保を求める要望書」の街頭署名行動をおこないました。

 買い物客に「尾陽病院を守りましょう」と声をかけると長蛇の列ができ、1時間で672人の署名が集まりました。

 7歳と4歳の子どもを連れた夫婦は「上の子が尾陽病院の世話になった」と署名。20代の若者は「稲沢で交通事故を起こして尾陽病院に運ばれた。なくなったら困るので署名します」と応じました。

 参加者からは「こんな楽しい署名集めは初めてだ」との声が上がりました。「守る会」が1月から集めた署名は4000人をこえました。

 甚目寺町では1月10日に開かれた議会懇談会総会で、町長が尾陽病院の医師確保に努力していることを報告。議会側も県に医師確保を要望する署名運動に取り組むことを確認しました。美和町議会も署名に取り組み、1月末現在で671人分が集まっています。

 「尾陽病院を守る会」の野中ゆきお日本共産党甚目寺町議は「署名は個人や団体のつながりでも広がっています。医師確保の一点で大きく世論を高めたい」と話しています。