愛知民報

【08.02.03】変だよ「森林環境税」? 知事に撤回申し入れ 日本共産党愛知県委員会 

荒廃まねいた政策の転換こそ

 日本共産党愛知県委員会(岩中正巳委員長)は1月18日、神田真秋知事に対し「森林環境税」を撤回し、開発型事業の見直しと既存の一般財源による森林と緑の施策充実をもとめる申し入れを行いました。申入書全文を紹介します。

 愛知県の43%は森林ですが、その荒廃が広がっています。森林は、水源涵養・保全機能をはじめ、木材の生産機能、山地災害の防止機能、地球温暖化を防止する二酸化炭素吸収機能、気候の緩和機能、動植物の生態系を守る機能、森林浴や景観によって健康に資する機能など、その価値と役割は県民にとって大きなものがあり、森林の保全は極めて重要です。

 森林を荒廃させている大きな原因は、歴代の自民党政府が、外材依存政策によって林業そのものを成りたたなくさせてきたこと、緊急を要する除伐・間伐などの造林事業を放置してきたこと、また、愛知県もこの政策に追随し林業・造林予算を大幅に削減してきたことにあります。日本共産党は、林業・木材産業を山村地域の産業として、「国産材の利用促進と輸入抑制による林業の再建」や「森林の機能充実・乱開発の規制」の政策を明らかにしてきました。

 貴職は、9月県議会で、「森と緑づくり」に取り組むために、その財源として「森林環境税」を新設する意志を表明しました。その内容は、「県民一人一人が森や緑の保全に主体的に関わる」ことから、「県民に薄く広く負担」を求める県民税均等割の超過課税(個人500円/年、法人5%増。年間約22億円)と報道されています。
 森林、里山林、都市の緑で、公的な施策を強化することは大切ですが、新しい税の導入には多くの問題があります。

 愛知県は、大型開発優先、大企業奉仕の県政を進め、貴重な森林を消滅させてきました。来年度着工する設楽ダムはその典型です。森林保全をすすめるためには、こうした県政をあらためることこそ重要です。

 県民は、定率減税の廃止、老齢者控除の見直し、年金掛け金の引き上げなど、公的負担の重さに悲鳴を上げています。企業活動などによる大気汚染の排出者を免罪し、また、税の大原則である「応能の負担」に反する県民税の均等割増税は、県民の理解を得られません。

 「森と緑づくりのための税制検討会議」報告は、むすびで「その導入に当っては、納税者である、県民、事業者等の理解を得ることが不可決であり、その趣旨を十分周知し、コンセンサスを得る必要」と指摘していますが、県は、県民の意識把握に努めず、わずかにパブリックコメントで103名の意見を聞いたに過ぎません。

 これらの点から、私どもは、提案されている「森林環境税」を撤回するとともに、開発型事業の見直しと既存の一般財源による森林と緑の施策の充実を申し入れます。