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みんなとつくった議席 愛知県議 下奥奈歩さんに聞く

 9日投開票された愛知県議選・豊橋市区(定数5、立候補8人)で議席を奪還し、日本共産党の県議空白を克服した下奥奈歩さん(36)に選挙戦の手応えや今後の決意を聞きました。(玉田文子)

――大激戦を377票差で勝利しました。

 支持者のみなさんと一緒につくった議席であり、全県を励ます結果につながったことが本当にうれしいです。どこでも「良かったね」と歓迎され、民主団体からは「これでやっと請願が出せる」と喜んでいただき、議席の重みを感じています。

――論戦の手応えは。

 豊橋市政の二大課題になっている新アリーナ建設問題と給食無償化の問題とともに、学費負担軽減やジェンダー平等の訴えが響いたと感じています。

 「学費の負担を軽くして」という声はずっと寄せられていました。コロナや物価高でさらに家計が苦しくなるなか、給付制奨学金の創設がかみ合う議論になっています。また、今回初めて演説中に声をかけられ同性婚について党の立場を聞かれ、「誰もが結婚を自由にできるようにしたい」と伝える場面もありました。婚姻の平等や賃金格差解消などジェンダー平等への願いが地域でも広がっていると感じました。平和の問題では、若い世代にも「平和の外交を」と求める声が多く、戦争反対の訴えが届いたのではないかと思います。

駅前で毎週対話

――駅前の対話でも支持が広がりました。

 毎週土曜日、豊橋駅前でのアンケート対話を1年半続けてきました。相手の興味あるテーマを掘り下げて要望を聞き、党の政策を伝える双方向の対話宣伝です。20代の青年が「今まで政治に関心がなかったけど、下奥さんと街頭で出会って対話して、応援したいと思ったし投票にも行こうという気持ちになった」と話してくれ驚きました。支部の人からも「毎週、駅前対話やっている候補者だよね。応援する」という反応があったと聞き、うれしかった。昨年4月に対話した人は今回の選挙で候補者カーの運転手も初挑戦し担い手としても活躍してくれました。

――多くの人に励まされましたね。

 個人的につながっていた支持者が選挙戦の中で「党の政策をもっと身につけた上で支持拡大を頑張りたい」と入党を決意してくれたこともうれしかった。真ん中世代のメンバーが2~3時間かけて候補者カーをデコレーションしてくれたり、初めて運転手を引き受けてくれたり、県外からも応援に駈けつけてくれた人がいたことは心強かったです。

担い手が増えた

 新たに立ち上げた「JCPしもおく奈歩サポーター」の存在もありがたかったです。面識がなかった人たちがネットを見て手伝いに来てくれ、新しい担い手が増えたと実感する選挙でした。今後は、幅広い有権者とつながるSNS対策の強化が課題です。

――「折り入って作戦」はどうでしたか。

 自力が後退する中で昨年の補選も及びませんでした。後援会員には率直に「自分たちだけでは支持を広げられないから、あなたの力を貸してほしい。周りの人にも広げてください」とお願いしました。予想よりも得票が上乗せされたのは地道な働きかけの成果があったのだと思います。

 豊橋市には4200人の後援会員がいます。今回改めて対話に行って、つながりが希薄になっている方もいました。顔を合わせる機会をつくり、日ごろから後援会員との交流を深めていくことが大事だと感じました。

――今後の決意を聞かせて下さい。

 自己責任を押し付ける政治を愛知県から変えていきたいと決意しています。学費負担軽減やジェンダー平等、学校給食無償化など公約実現のためにみなさんと一緒に頑張ります。

 新アリーナ建設予定地は災害時に家屋が倒壊する恐れのある危険な地域です。県も後押ししてアジア競技大会に間に合わせる建設ありきの方針を見直し、市民の声を聞き、市民が使いやすい施設を安全な場所につくるよう求めていきます。

 共産党の議席は本当に重い1議席です。この4年間、いろんな声が議会に届かなくなっていました。共産党がどうしてこんなに粘り強いのかというと、やはり市民の声や要求に根付いているからだと思います。市民と一緒に頑張るのが共産党の役割です。再び県議会で力を尽くします。

(4月29日 しんぶん赤旗)