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地域医療守ろう 愛知 医療者が集会・交流

「地域医療を守ろう」と開かれた集会=20日、名古屋市熱田区

 国が地域医療を担う公的・公立病院の再編・統合、病床削減をすすめる中、愛知県社保協地域医療委員会は20日、名古屋市内で「地域医療を守り充実させる愛知県集会」を開き、病院や労働組合の役員ら22人が参加し、活動を交流しました。

全医労愛知地区協議会の長尾実書記次長が地域医療を取り巻く県内情勢を報告。「コロナ第8波の対策強化が求められる中、重点医療機関は増えず、協力医療機関の病床は減少傾向で病床確保が困難になっている」と指摘。「厚労省が再編統合を促す公立・公的病院424病院『再検証』名指し後、病床削減が進み、その後も『補助金の増額で』推進。今後、県内22の公立病院は『公立病院経営強化プラン』等による、病床と職員削減も懸念される。地域医療を担う病院の再編統合は、地方自治の否定であり、地域医療の崩壊につながる。地域医療を守るため運動を広げよう」と訴えました。

 県医労連の矢野彩子書記長が加盟労組のある病院・介護施設へ行ったアンケート調査結果を報告しました。

 各病院から状況報告があり、市立半田病院の組合役員は「名指しされた常滑市民病院と経営統合する。統合後も今の2病院の診療科目、病床を維持するため全力をあげる」。西尾市民病院の組合書記は「コロナ第7波では職員不足で大変だった。冬季になりコロナとインフルエンザ患者が増えると予想される。患者に十分な対応が出来るよう、看護師など職員増員へ病院全体で取り組んでいる」と述べました。

 名古屋市が2027年度末に特別養護老人ホームの廃止方針を決めた厚生院(名東区)の職員は「市内唯一の公設・公営の特養ホーム。生活保護者や年金生活者、家族などの身元保証人がなくても入所できる。併設の付属病院で医療的ケアをおこなっているが、来年4月に名古屋市立大学付属病院となることが決まり、特養とも連携した医療の継続ができるか不安」と語りました。

 無料定額診療を実施している名南病院(南区)職員は「コロナ禍で利用者が増えている。失業や経営不振の零細業者らが多い。生活が厳しい学生や保険に加入していない外国人もいる。必要な人に医療が受けられるよう制度の周知とともに、医療費減免や高い国保料引き下げが必要」と強調しました。

 県社保協の小松民子事務局長は「各地の医療現場で地域医療を守る取り組みが報告された。国や自治体への働きかけを含め、医療関係者、患者や家族、地域住民が力を合わせ運動していこう」と呼びかけました。

(11月26日 しんぶん赤旗)