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国民動員の戦時ポスターを展示 名古屋市名東区ピースあいち

展示品を見つめる来場者=12日、名古屋市名東区

 名古屋市名東区の「戦争と平和の資料館ピースあいち」で、夏の企画展「戦争プロパガンダ~国民を戦争に向かわせた宣伝たち」が開かれています(9月17日まで)。長野県阿智村に残された戦時ポスターや戦時中の日用品などから、当時の政府が国民をどのように戦争に向かわせたのかを知ることができます。

 長野県阿智村が所蔵する戦時ポスター135枚のうち、40枚を展示。兵隊募集、鉄・銅の供出、戦費国債の購入など呼びかけたものです。国民の戦意高揚を図るポスターは、終戦後、GHQが焼却処分を命じましたが、旧会地村(おおちむら)の原弘平村長が「尊い教材として、いつか役に立つだろう」として命令に背き、土蔵に隠しました。

1994年に原村長の孫が発見し、阿智村に寄託。阿智村は原村長の遺志を汲み、複製品を各地に貸し出しています。

 当時の日常生活に使われた戦争プロパガンダ(政治的な宣伝)の品々も紹介されています。風呂敷には子どもたちの戦争ごっこや旧満州国の地図、軍艦や戦闘機など印刷されています。全国各地の駅で販売されていた駅弁の掛け紙コレクションも、愛知学院大学の蛸島直教授の協力も得て展示。「総(すべ)てを戦争のために」「銃後弁当、国民精神総動員」など標語が書かれています。ピースあいちの所蔵品から軍歌などが書かれた茶碗や鉛筆、短冊、マッチなども展示されています。

 同館は年4回の企画展を実施しています。

宮原大輔館長は、「昨年の会議では、『プロパガンダ』をタイトルにしていいかと悩んだが、2月にウクライナ侵略が始まり、プロパガンダという言葉を頻繁に見るようになった」と話します。「展示品を通じて、『プロパガンダ』を浴びてもらい、当時の国民が戦争をどのように受け入れ、見てきたのか知ってほしい。ウクライナ侵略の報道も、それが戦争報道なのか、戦争宣伝なのか考えるきっかけにもなると思います」と話しました。

 「ピースあいち」は、午前11時~午後4時、日・月休館。入館料300円、小中高生100円。連絡先052(602)4222。

(7月16日 しんぶん赤旗)