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県立高 貴重な学びの場 統廃合やめよ5000超署名提出 愛知 教育2団体・卒業生ら県教委に

会見を開き、県立高校統廃合撤回と少人数学級実現を求める人たち=23日、愛知県庁

 愛知県立高校の「統廃合」や「学科再編」の撤回を求める署名5078人分が23日、県教育委員会に提出されました。署名をよびかけた「憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会」と愛知県高等学校教職員組合(愛高教)が県庁で記者会見し「子どもたちの学びの場を奪わないで」と訴えました。

 署名の内容は①県が昨年12月に発表した「県立高等学校再編将来構想」の撤回②少人数学級実現などに向けた教育予算の大幅増③学校の「序列化」や企業が必要とする「人材づくり」につながる「学科再編」の中止―の3点です。

 「愛知の会」代表代行の大橋基博・名古屋造形大学特任教授は「県は密室でごく短時間のうちに、地域住民や学校関係者など当事者不在のまま構想を決めた。多くの県民に知ってもらい、問題が多い構想を撤回させていきたい」と語りました。

 廃校の対象となっている海翔高校(弥富市、2005年開校)の一期生の鈴木裕美さん(32)は「公立高校にあまりない福祉科があり、設備もまだ新しい。廃校になれば、福祉を学びたい、地域で進学したいと願う生徒の将来を閉ざしてしまう」と述べました。同校元教員の後藤静さんは「校舎は海抜0㍍地域にあり、防災拠点としての役割を持ち、生徒も防災を学んでいる。地域とともにある学校であり、当事者不在のまま進められるのは納得できない」と話しました

 愛高教の加藤聡也委員長は、愛知県の教育予算が全国最低レベル(19年度全日制高校一人当たり教育費47位)だとして「教育予算の改善こそ必要であり、少人数学級実現のチャンスでもある」と強調。「県は2023年度から35年まで12年間かけて断続的に統廃合・再編を行おうとしている。尾張西部地域から始まったが、これから全県ですすめられ、対象高校はますます増えていく。当事者を無視する構想は撤回し、見直すべきだ」と訴えました。

(3月26日 しんぶん赤旗)