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生存権裁判 原告の請求すべて棄却 名古屋地裁 生活保護削る国に追従

 生活保護費減額処分は憲法25条に違反するとして、その取り消しなどを求めて、愛知県内の生活保護受給者18人が国や名古屋市など4市を相手取った「生存権裁判」(いのちのとりで裁判)の判決が25日、名古屋地裁でありました。角谷昌毅裁判長は、原告の請求をすべて棄却しました。

 地裁前に「不当判決」の旗が掲げられると、支援者から「許さないぞ!」「全国の仲間と団結してがんばろう!」とコールが起こりました。座り込んだ原告の女性は「体をひきずって頑張ってきたのに、悔しい」と涙を流しました。

 国が2013年から3回にわたり、平均6・5%、最大10%もの引き下げを強行したことから全国29地裁で1000人以上の原告が訴えている集団訴訟です。愛知は14年、16年に21人が提訴(原告3人死亡)。全国最初の判決です。

 判決は、原告が主張してきた憲法25条に基づく「健康で文化的な最低限度の生活」について触れませんでした。

 「健康で文化的な生活水準を維持できるかどうかを判断する」にあたり、厚労相の裁量権が認められており、「ゆがみ調整」や「デフレ調整」による引き下げ改定も裁量権の逸脱・乱用があったとはいえないとし、国の主張通り、「違法とは言えない」としました。

 原告と弁護団は、名古屋市内で報告集会を開きました。

 内河惠一弁護団長は「なんら得るものがない判決だ。国や政治がやった不正をチェックするべき司法が、その仕事を忘れている」と厳しく批判。「ここでくじけるわけにはいかない。控訴審、最高裁へ最後までたたかい続けるため、運動を展開していく」と決意を述べました。

 原告の女性は、「本当にくやしい。もう食費も減らすことはできない。減らしても減らしても、さらに減らせという。死んでいくのを待っているようだ」と涙ながらに語りました。

 報告集会は「YouTube」で中継され、全国に配信されました。

(6月26日 しんぶん赤旗)