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愛知県保険医協会調査 外来患者減った92%

 愛知県保険医協会の「新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療機関への影響調査」(4月診療分)では、9割以上の医療機関で外来患者が減ったと回答。多くの医師が受診抑制による患者の健康悪化を心配しています。

■ 経営不安の声強く

 調査は3月診療分に続き2回目。FAX登録のある開業医会員(5231人)にアンケートを送付(5月15日)し、6月1日までに1319件から回答がありました。

 前年同時期(4月診療分)と比べた外来患者数は、「減った」という回答が92・6%ありました。前回(3月分)は「減った」が80・1%でしたから、受診抑制が更に進んでいます。その減少割合も3割を超える医療機関が29・5%になり、前回の20・1%から増加しました。

■ 資材は不安定

 患者の健康悪化を心配する声が数多く寄せられています。「受診を控えたため病状が悪化し失明するところだった。医療機関受診は不要不急ではないことを広報して」、「糖尿病の処方薬が少なくなり自己判断で服用量を減らし、血糖コントールが悪化した人が多い」、「小児患者の受診がかなり減った。子どもの予防接種は昨年の1~2割程度」など深刻です。

 医療資材の確保では手指消毒剤の在庫が「1カ月以内」46・2%、「半月以内」10・3%、「在庫なし」も4・2%。グローブ(医療用手袋)は「1カ月以内」34・8%、「半月以内」8・6%、「在庫なし」3%。依然として安定供給されない状況が続いています。「アルコール、防護服など必要な資材が普段の数倍から数十倍の価格になっている。安定供給と費用の補償を」、「緊急事態に備えて普段から医療機関に優先的に流通するようにしてほしい」など国への要望が書かれていました。

 PCR検査については「CT検査で肺炎を認めても、してもらえなかった」、「冬場に向けてすぐ検査が出来るようPCR検査センターを作ってほしい」などの意見も。

 開業医からは患者減、収入減による経営不安が寄せられています。「今冬にくるインフルエンザと新型コロナに対し、患者の分離対応の準備をしているが全部自己負担。自助努力だけでは限界」、「受診抑制による収入減、新型コロナ感染対策の支出増。このままでは医院倒産で、医療崩壊が危惧される」など。

■ 対策の費用増

 愛知県保険医協会の日下紀生事務局次長は「慢性疾患で定期受診・薬の管理が必要な患者さんが受診を控えたり、健診や予防接種を控えたりすることが起きていて、健康悪化を懸念します。医療現場は診療報酬引き下げなど社会保障費削減が続き、経営がもともと苦しいところに、患者減と感染対策の費用増ですから、地域医療を支える医療機関への支援は待ったなしです」と話しています。

(6月5日 しんぶん赤旗)