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トリエンナーレ補助金 文化庁、一転交付へ

 一度決定していた補助金交付を取り消すとして問題となっていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」をめぐり、文化庁は23日、全額不交付としていた愛知県への補助金を約6660万円に減額して交付すると発表しました。

 同芸術祭では、「慰安婦」を象徴する「平和の少女像」などへの政治的圧力や脅迫により、企画展「表現の不自由展・その後」が開幕から3日で中断に追い込まれました。

 開幕直後の昨年8月2日に菅義偉官房長官が交付金について「事実関係を確認、精査して適切に対応したい」と発言。文化庁は同年9月、「円滑な運営を脅かす重大な事実を認識しながら深刻しなかった」として、補助金約7800万円全額を交付しないと決定。採択決定後の取り消しという前例のない事態に対し、県は同年10月、同庁に不服申出書を提出していました。

 文化庁によると、県が今月、「展示会場の安全を脅かす懸念を想定していながら申告しなかったのは遺憾」とする意見書を同庁に提出し、警備など企画展再開に要した費用などを差し引いた額として6661万9000円を申請し直したことから、今回の減額交付を決めたとしています。

 不交付決定の取り消しを求める訴訟を起こす意向を示していた愛知県の大村秀章知事は、23日の記者会見で「県と文化庁で協議し、折り合った」と述べ、法的措置を見送る考えを示しました。

 文化庁の担当者は「当時の判断に瑕疵(かし)があったとは思っていない」としています。

■ 本来なら全額を

「表現の不自由展その後をつなげる愛知の会」の近田美保子さんの話

 本来なら、文化庁は全額を交付すべきだった。愛知県が減額を受け入れたことで、「忖度(そんたく)」の流れにならないか危惧している。会としても、トリエンナーレが何だったのか、市民が検証する場をつくっていきたい。

(3月25日 しんぶん赤旗)