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名古屋市立高の統廃合計画 保護者・教員・住民 不安の声「大規模校の解消 先だ」

名古屋市の学級統廃合問題について話し合われた集会=9日、名古屋市中区

 「子どもや保護者の声を聞いて」―。名古屋市教育委員会が主導して小規模校の統廃合計画を進めていることから、保護者や教員、住民から不安や疑問の声があがっています。

 名古屋市が1月25日発表した「ナゴヤ子どもいきいき学校づくり計画」では、クラス替えができない学年が生れる小規模校(小学校で11学級以下、中学校で5学級以下)の統廃合を推進するもので、計画期間は2033年度までです。18年度でみれば、小学校(261校中)73校、中学校(110校)4校が対象になります。

■ 国の意向を反映

 市は、これまでも小規模校の統廃合を進めようとしましたが、住民合意が得られず計画通りに進んでいません。今回は、教育委員会が主導して「個別プラン」を作成した上で、統廃合を進めようとしています。

 背景には、「小規模校ではコストが割高なので統廃合で経費節減を」という国の意向が色濃く反映されています。

 教育委員会が昨年、住民に十分知らせないまま「地域説明会」を強行したことに、反発が広がっています。

 統合計画に反対する市民らが9日開いた「市民の集い」には会場いっぱいの120人が参加しました

 石井拓児・名古屋大学准教授は「総務省が自治体に対し公共施設の削減目標を示したことが背景にある。公共施設で一番多い学校がターゲットにされた」と指摘し、「統廃合により地域行事の衰退、学校と地域の断絶、地域コミュニティが衰退する」と強調しました。

 中学教員の西田義弘氏は、増加する不登校、多忙な教員の実態について報告し、「大規模校になれば教員の負担が大きい。小規模校ほど児童・生徒に目が行き届き、問題が起こった場合の対応が迅速にできる」と語りました。

■ 災害の避難場所

 生徒数1400人と市内一のマンモス小学校に子どもが通う母親は「大規模校の解消を優先すべきだ」と発言。運動会では保護者の座る場所がなく、子どもを探すのが大変だといいます。

 参加した地域の町内会役員は「多くの学校は災害時の避難場所になっている。統廃合で学校が遠くになると高齢者や障害者は逃げ遅れる可能性がある」。教職員も「市が『いじめ対策のためクラス替えが必要』というならば、35人学級でなく25人学級にして複数クラスにすればよい。小規模校、少人数学級だと、きめ細かい指導ができる」と発言しました。

 日本共産党市議団は、住民合意のない学校統廃合に一貫して反対してきました。教育委員会の「計画」にも、子どもたちに教育がゆきとどく小規模校のメリットや存続の選択肢も記述すべきだと指摘。31学級以上になっている過大規模校(市内6小学校)対策や老朽化した校舎の改築こそ、早急にすすめるべきだと主張しています。

(2月21日 しんぶん赤旗)