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美浜町の住民同意なき風力発電建設 武田・本村両議員が調査

住民の案内で風力発電建設現場を調査する(右2人目から)武田、本村亮議員=16日、愛知県美浜町

 愛知県美浜町で住民同意がないまま小型風力発電施設が建設されていることから、日本共産党の武田良介参院議員、本村伸子衆院議員、島津幸広前衆院議員は16日、建設現場を視察し、住民ら懇談しました。

■ 最低限の事故防止策もなし

 一行は、地域住民でつくる「美浜町の風力・太陽光発電を考える会」のメンバーの案内で、建設工事現場を見て回りました。

 建設されているのは奥田地区の2カ所で、もっとも近い民家までおよそ25㍍。周辺は住民の散歩道や子どもたちの遊び場ですが、フェンスもロープもありません。

 事務局長の都筑聖二さんは「最低限の事故防止もされていないんです」と指摘。武田議員も「これでは子どもが簡単に触れますね」と驚きます。

 工事が始まったのは4月半ば。「最初は、一体だれが何の工事をしているのかわからなかった。住民には寝耳に水の工事。急いで住民同士連携した」と都筑さん。

 住民らは5月2日に「考える会」を結成し、学習会を開催。行政や経産省、中部電力などにも行きました。「調べれば調べるほど、小型風力発電が法律の対象外であることが分かった」と言います。

 設置高30㍍未満、風車の直径16㍍以下、出力規模20㌔㍗未満なら、自治体への建設届け出や環境アセスも必要ありません。自治体の中には規制する条例やガイドラインを作成し、民家から300㍍以上離すことを定めるところもあります。しかし、美浜町にはありません。

 施工は東京に本社がある小型風力発電の会社です。「考える会」は、この業者に住民説明会の開催を再三要求。5月30日に開かれた住民説明会で業者は「お金も動いているので工事は止められない」。住民は建設中止を求める署名2323人分を提出しました。

■ 「再生エネ反対ではなく、立地が問題」

 視察団との懇談で、建設現場から100㍍ほどに自宅がある港美雪さんは「低周波や騒音など健康被害が心配されるのに、あまりに乱暴に進められている」と怒ります。

 現在、美浜町だけで46基の事業計画が認定されています。都筑さんは「住民は再生加能エネルギーに反対しているわけではない。民家に接近する立地が問題なんです。住環境や健康被害への懸念がクリアされなければ困る」と話します。

 町議会は今月12日、会から提出された「住民の健康被害の可能性を払しょくできない現在の立地を改める」「住宅から300㍍以上離す」など3項目の請願を全会一致で採択。国に対し、自治体や住民への説明会の開催を義務付けるなど法整備を求める意見書も採択しました。同町はガイドライン策定に向けて、意見の募集を始めたところです。

 本村議員は懇談で、町から意見書が届いたと報告。「住民の同意を得ることや不安をなくすのが大前提です。一緒に解決していきたい」と答えました。

 武田議員は、経済産業省が昨年9月末までに認定した、小型風力発電設備の事業計画は全国で10万件を超えていると紹介。「再生可能エネルギーを推進するのは当然だが、法律や条例がなく対応が遅れているのは問題だ。さっそく国会で対応したい」と話しました。

(6月21日 しんぶん赤旗)