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JR東海・リニア大深度説明会 参加者から怒りの声

JR東海が開催した大深度地下使用申請についての住民説明会=5月、名古屋市北区

 JR東海は地下40㍍より深いところにリニア中央新幹線トンネルを建設するため、「大深度地下」の使用認可を国に申請しています。5月に開催された住民説明会では、参加者からさまざまな不安や疑問が続出。ルートなど住民に十分知らされておらず、「このままの認可は許されない」との声があがっています。

 大深度地下利用の対象は東京、神奈川、愛知各都県の約50・3㌖。うち愛知県内は約17㌔。使用申請は「大深度地下の公共的仕様に関する特別措置法」(大深度法)に基づいて行われます。認可されれば、地権者に工事の同意は不要になり、原則的に補償も用地買収もしないですみます。

 愛知県内では5回の住民説明会が開かれ、各地で住民への周知が不十分だとの声が毒出。「説明会の情報を開催初日の新聞報道で知った」「トンネル真上の住民が知らないままなのではないか」などの意見が相次ぎました。

 JR東海は自社ホームページや各自治体の広報、回覧で周知したと説明しますが、トンネル状への住民への個別の告知はしていません。

 「東京外かく環状道路の公示ではトンネル状の住民に1軒1軒ポスティングで資料を配布したと聞いている。最低限のことさえされていない」と春日井シニアを問う会の川本正彦さん(74)は語ります。「自分の家の下にトンネルがつくられることさえ知らされていない。このまま大深度地下の使用が認可されることは非常に問題がある」と訴えます。

■ 根拠は示せない

 トンネルによる家屋被害、地下への影響も質問が出されました。

 JR東海は、地上で地盤の変異を確認しながら強固な支持地盤の下をシールドマシーンで掘り進むので「地上に影響は起きない」「家屋調査はしない」と説明。

 「もしも家屋への被害があった場合の補償は」との質問に、被害の因果関係を確認できれば補償を協議すると回答。しかし、「JRが被害認定するということか? それでは因果関係が不明とされ、結局補償されないのではないか」との声には無言でした。

 地価が下がるのではとの質問には、「通常の土地利用に影響を与えない。地下の変動の補償は考えていない」との回答に終始。地下が下がらないとする根拠は示せませんでした。

■ 回答かみあわず

 ほかにも地下水への影響、騒音や振動、電磁波、避難方法、活断層、発生土など各地で多岐にわたる懸念や疑問が噴出。1時間半の予定時間を過ぎた会場もありました。質問と回答がかみあわず、「質問に答えていない」と怒りの声があがる場面もありました。

 大深度地下トンネルの真上に住む名古屋市北区の中西啓俊さん(36)は、「説明があいまいで分かりづらい部分があった。地表の変化を確認しながら掘るというが、何かあったら工事を辞めるのか。いつから工事が始まるのかもわからず不安」と話します。

 大深度法の前提は、「公共の利益となる事業」。安全性、採算性、自然環境破壊など問題が山積みのリニア事業が公共の利益となる事業といえるのか。

 リニアを問う愛知市民ネットの小林收さん(73)は、「JR東海は民間事業と言うことで契約内容などの情報公開も拒否している。公共の利益となる事業ならきちんと情報を明らかにすべきだが、説明会で聞いても答えない。このままの認可は許されない」と語ります。国交省は7月6、7両日、大深度地下申請について公聴会を開催する予定です。

(6月16日 しんぶん赤旗)