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格差・貧困 声あげよう 福祉学ぶ学生が『下流老人』著者の藤田氏とトークセッション

 愛知県美浜町で23日、民青同盟福祉大地区委員会の新歓企画として、『下流老人』著者の藤田孝典氏と大学生が語り合う「貧困トークセッション」が行われました。SNSなどで呼びかけ、大学生ら20人が参加しました。

 学生同盟員が冒頭あいさつし、「格差と貧困、社会福祉を考える上で政治は切り離せない。貧困の実態を知り、どう行動していくべきか、一緒に考えたい」と話しました。

 藤田氏は「貧困とは何か」をテーマに講演し、日本の貧困率がOECD加盟国(34カ国)中、6番目に高く、高齢者に至っては4番目に高く、高齢期は誰もが貧困に陥る可能性があると述べ、「貧困や格差は明らかな政治の失敗で、社会構造が生み出すもの」と指摘。生活保護基準以下の収入の人が3000万人近くいて、子どもの貧困は親の貧困であり、本質は労働問題あると述べ、「声をあげることが大事。動けば社会は変わる。変革の主体になってほしい」と呼びかけました。

 男子学生は「自分の世代は行動する人が変な目で見られる。声を普通にあげれる社会にしたい」と応じ、別の学生は「以前はデモに偏見があったけど、学ぶうちに社会がおかしいから声をあげるんだと思うようになった。偏見を持っていたことが恥ずかしい」と話しました。

 藤田氏は「学ばなければ気づけないことがたくさんある。各地で疑問や問題を軽い気持ちでも、発信することが大事。ちょっとずつでも変わっていく」と励ましました。

 「貧困に関心を持つまでは、貧困に苦しむ友人に気付けなかった。見た目じゃわからない」と話す学生。藤田氏は「お金がないのは自己責任だと思い込ませられているので、隠してしまう。政府が所得再分配をしっかり取り組めば、貧困はなくせなくても縮小できる」と語りました。

 「困っている人に学生でも何かできることはありますか」との問いに、藤田氏は「貧困の人は社会や人間関係から孤立している。そばにいて、話を聞いてあげるだけもいい」と述べました。

 社会福祉士をめざす女子学生は「自分が支援することで、その人の人生を左右してしまうことに責任を感じる。いろんな形で仲間をつくり、社会を変えていきたい」。4年の男子学生は「いつ誰が貧困になるかわからない社会。それはやっぱりおかしいと思う」などと話しました。

3年生の男子学生が「民青の仲間と社会問題や政治のことを学び運動したい」と加盟しました。

(5月26日 しんぶん赤旗)