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自由をくれた介助犬 愛知・長久手市

 
 「ジョイが来てから一人で旅行できるようになりました」。ジョイは介助犬。電動車いすの松山ゆかりさん(33)にとって欠かせないパートナーです。愛知県にある介助犬専門の訓練センターを訪ねました。

 介助犬は、手足に障害のある人の日常生活をサポートする補助犬の一種。補助犬は、身体障害者補助犬法にもとづいて、盲導犬、聴導犬、介助犬を認定しています。
 岐阜県各務原(かかみがはら)市に一人住まいの松山さんは手足に障害があるため学校卒業後、引きこもり状態に。「1人でコンビニに行くのが夢だった」といいます。
ジョイと生活するようになったのは2011年。ジョイの仕事は、松山さんの朝の目覚めから始まります。ジョイが背中の下に潜り込み押しあげてくれ、以前は1時間近くかかった起き上がりが5分に短縮したといいます。

■自動車免許も
 「何かあってもジョイが助けてくれる」。松山さんは自らの境遇を前向きに受け止めるようになり、今では新幹線での旅行や、自動車免許を取得するほどまで活動的になりました。
 介助犬は現在、全国に73頭活躍していますが、必要とする1万5千人に対し圧倒的に不足しています。介助犬は、利用者の求めに応じて仕事が違うため、育成にお金と時間がかかります。岐阜県では松山さんのジョイ1頭だけです。
 愛知県長久手市には日本介助犬協会が運営する介助犬総合訓練センターがあります。
 松山さんのジョイは、この訓練センターで育てられた介助犬です。同センターは、介助犬のことを広く知ってもらう目的で5日、一般公開のオープンハウスを実施。松山さんも自らの体験を語り、親子連れや近隣の高校生らが耳を傾けました。
 介助犬の実演コーナーでは、部屋に置いてある携帯を探させ持ってこさせたり、冷蔵庫の取っ手に付けたひもを口で引っ張り、中からペットボトルを取り出し、鼻でドアを閉めるなど参加者を沸かせました。
 障害者が在宅時、体調が悪くなって倒れたときなど緊急時に外部と連絡するために携帯は命綱。実演では施設職員が「テイク・ケイタイ」と声をかけると、介助犬が会場内に隠された携帯を探し始めます。犬の得意な嗅覚でなく四角い形で探す訓練を積んでいます。会場の隅に隠された携帯を発見し、ストラップを口にくわえ職員に手渡すと大きな拍手に包まれました。

■高い育成費用
 尋木佐一(たずのき・さいち)センター長によれば、介助犬1頭を育てるのに350万円ほどかかるのに対し、都道府県の補助は100万~150万円にすぎないといいます。約20人の職員が働き、年間1億6千万円の運営費の9割以上が寄付でまかなわれています。
 訓練センターの仕事は、介助犬を提供して終わりではありません。尋木センター長が語ります。「地域の社会福祉施設などと連携して障害者の自立と社会参加を促進することが私たちの理念です」
(3月17日 しんぶん赤旗)