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”二度と戦争ゴメン” 中高生・母親たちの朗読劇

 

「ちちをかえせ ははをかえせ…。へいわをかえせ」―南山国際中学・高校(愛知県豊田市)演劇部の生徒たちの声が、今年も会場いっぱいに響きわたりました。

 同高校演劇部は、10年前から若い世代で「戦争体験」を語り継ごうと反戦や平和を訴える朗読劇をはじめ、校内で発表してきました。校内だけでなく広く市民にも聞いてもらおうと、戦争と平和の資料館「ピースあいち」(名古屋市名東区)で発表をはじめて6年目になります。

 5日の朗読劇「あの夏の空に届け」には、演劇部員6人と母親7にとが出演、会場いっぱいの約100人に平和への思いを込めて朗読しました。
 開会あいさつした演劇部顧問の馬場豊経論は「この10年、さまざまなお母さんや生徒たちと言葉に向かい合い、書いた人の気持ちを手さぐりしながら、続けてきました。ささやかながらも、これからも続けていきたい」と語りました。

 朗読劇は、峠三吉の「原爆詩集」から始まり、俳優・米倉斉加年さんの「おとなになれなかった弟たちに…」など13作品を、約1時間かけて読み上げました。広島・長崎の原爆の悲惨さ、旧日本軍による中国・重慶の爆撃被害も語り、今年は東北出身の兵士が家族にあてた手紙を収録した「戦没農民兵士の手紙」も紹介しました。
 合間に同校生徒がバイオリン演奏し、兵士が故郷を思い出し歌った「ふるさと」などを奏でました。

 2人の女子学生は「戦争で被爆したり、家族を亡くした子どもたちのことを思いながら読みたい」「戦争体験をしていない私たちだけど被害にあった人たちの思いを伝えたい」と、出演への思いを語りました。

 高校1年の男子は「政治や世界情勢が混乱し始めている今だからこそ、やる意味がある。一人でも多くの人に、争いがいかに人を苦しめてしまうかを知ってもらいたい」と述べ、高1の女子も「戦争体験者が少なくなる中、私たちが次の世代へと伝えていき、二度と悲しい思いをさせないのが義務だと思う」と言いました。

 「妻へ、お産も近いが元気でやってくれ。生まれた子供が笑うようになる頃は、運がよかったら帰れるかも…」と、戦没農民兵士の手紙を読んだ母親(42)は「今なお世界のどこかで戦争がおこっている。日本がおこした戦争の中で悲しみ、苦しんだ顔z区の思いが伝わるように読んだ。二度と戦争をおこしてはならないから」と話しました。

    (2014.7.12)