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中部国際空港 旅客減でも拡張 第二滑走路に1700億円

 

中部国際空港(愛知県常滑市)が開港して10年目をむかえました。需要が減っているにもかかわらず、県は第2滑走路や西知多道路を推進しようとしています。革新県政の会の中部空港バスツアーに同行し、需要無視の開発を体感しました。(今村一路)

 バスツアーは4月27日、革新県政の会が来年の県知事選に向けて実施している県政ウオッチング第2弾。「県が何をやっているのか知りたい」と52人が参加しました。

 中部空港は、過大な需要予測から、名古屋空港では間に合わないとしてつくられました。開港時の2005年こそ、愛知万博もあってか、旅客数は1200万人を超えましたが、5年後には1000万人を割り、2012年は約921万人で名古屋空港のピーク約1100万人を下回っています。バス内で、柳沢けさみさん(春日井市区の党県議予定候補)が自衛隊の比重が増した県立名古屋空港の現状を説明し、「軍用化に歯止めをかける」と決意表明しました。

 名古屋市内から出発したバスは一路南へ。大型連休2日目でしたが、渋滞はなく西知多産業道路を順調に走ります。県は産業道路を2車線増やし、その先を新設し、常滑市の知多横断道路につなぐ自動車専用道路「西知多道路」計画(経費1500億円)を進めています。

 西本真樹党常滑市議と前党知多市議の中村祐次さんが、新設予定地で立ち退きとなる家屋を示しながら「周辺には学校も多く心配。バイパスなら知多半島道路もある。今ある道路で十分」と語りました。バスは空港島の対岸に整地された「前島」に。進出した大型店舗の駐車場は満杯でしたが、やはり渋滞はありません。

 企業誘致を期待してつくった「中部臨空都市」(空港島、前島)は、契約率が50・1%にすぎません。前島の「りんくう常滑駅」前には20万2000?の空き地が広がっています。雑草で覆われた中に「ごみを捨てないでください。イオンモール」の看板が。09年開業の予定が延期を続け、今秋開業としていますが、建設の気配はありません。

 元党常滑市議の佐々木志津江さんは「イオンは県に借地料を払っていますが、周りより半額ほど安く設定され、開業前との理由でさらに半額の月額70円(1?あたり)となっています。開業した企業には市が奨励金を出しています」と企業優遇の実態を告発。「一方で、幼保育園の統廃合など福祉にツケが回されています」と訴えました。

 中部空港に第2滑走路(総工費約1700億円)をつくろうと、建設促進期成同盟会(会長・大村秀章愛知県知事)は4月24日、国へ支援要請をしました。名古屋港をしゅんせつした土砂で空港島沖を埋め立て、第2滑走路にしようとしています。

 革新県政の会の西田静郎さんは、航路しゅんせつ水深が過大に設定され、新たな捨て場として意図的に空港島沖が狙われていることを指摘。国際空港だから「完全24時間化」が必要だと言いますが、使えないのは滑走路のメンテナンスをする週9時間だけです。さらに「平行した滑走路がわずか300mしか離れていない」と計画のでたらめさを指摘しました。

 中部国際空港・関連開発問題を考えるネットワークの瀬木俊一さんは、空港の弊害を指摘し続けた会の歴史などを語りました。

 ツアーに夫婦で参加した本谷さんは「開発先にありきの需要予測になっていたのでは」(八郎さん)、「鉄とコンクリートの大量使用で土建業者だけのための開発。暮らしのことを考えていない」(純子さん)と批判しました。