ニュース

安城学園高校 学園祭で「未来」語るシンポ

震災、原発、基地、学費

 

 「私たちはどんな未来をのぞむのか、未来のために何ができるのか」―。愛知県安城市の私立安城学園高校の学園祭で、若い世代が「未来」を語り合うシンポジウム(9月29日)が開かれました。近隣校もふくめ100人ほどの高校生が、震災復興・原発事故・米軍基地・学費の公私格差に四つにつて考えあいました。

 シンポジウムで報告したのは、岩手県立大船渡東高校の生徒、福島県双葉町から安城市に一家で避難してきた大沼勇治さん(36)、沖縄の10万人県民大会で発言した沖縄国際大学3年生の加治工綾美さん、愛知県高校生フェスティバル実行委員会の生徒です。

 今回の企画意図について、実行委員の杉原早耶さん(2年)は、「『苦しみ』をどう乗り越え、なぜ『矛盾』とたたかおうとしたのか。よりよい未来に向かって行動している人々が交流することで、明るい『未来』へのスタートラインを築けるのでは」と語ります。

 多くの報告者が触れたのは「国が押し付けた矛盾」への怒りでした。大沼さんは、「2030年代の原発ゼロ」さえ明言できない政府を批判し、「世界が脱原発にむかっているときに、このままでは日本は孤立してしまう。もっと自然エネルギーに目を向けるべきだ。原発事故に遭った者として、声を大にして訴えたい」と話しました。加治工さんは、米兵事件が後を絶たない中で、県民の反対を押し切って危険な米海兵他の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを強行配備することに怒りを表し、「なぜ政府は断れないのか。なぜ税金まで使って基地を維持しようとするのか。その原因を一緒に考えてほしい」と述べました。

 大船渡東高校3年の生形知亜紀さんは、「仮設住宅の退去期限も迫り、補助金も十分じゃない。それなのに震災報道は少なくなっている。被災地でがんばっている姿を、自分たちで伝えたい」。南山高校女子部2年の福原美桜さんは、学費の公私格差について報告し、「教育は国の将来の問題だと真剣に考えてほしい。お金で悩む高校生をなくしたい。自分たちの未来は、自分たちでつくる。おかしいと思ったら大声で叫ぼう」と訴えました。

 まとめの発言に立った実行委員の大河汐里さん(3年)は「政治に対する要求がたくさん出た。一つひとつの問題をどう考えるのか整理できた気がする。一人ひとりがバラバラでなく、つながり合えば立ち向かえそう」と語りました。

 聞いていた県立高校2年の男子生徒は、「それぞれ政府にほったらかしにされている。自分の将来、世界のこれからに不安はあるけど、みんなが幸せになるように考えていけば、それも解消されるんじゃないか。そこを考えてみたい」と感想を語りました。(10月5日)