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やはり危険 設楽ダム 市民団体調査

露出断層 触るとぽろり

 「これは山ではない。まるでついたてだ」―。ダム建設予定地につながる山の尾根に立った男性が、その狭さ険しさにあぜんとした声をあげました。国と愛知県が同県設楽町(したらちょう)に建設を予定している巨大な設楽ダム。市民団体「設楽ダムの建設中止を求める会」(市野和夫代表)の現地調査(19日)で、危険性が浮き彫りになりました。

 予定地近くで地表に露出した断層を確認。片麻(へんま)岩からなる岩盤は、触るとぼろぼろ崩れていきます。「国土交通省は、設楽ダムの地盤は頑丈だと言いますが、そう思えますか」。伊奈紘副代表は30人ほどの参加者に疑問を投げかけました。

 

地滑り土塊が

 ダム予定地北部の山は、U字型に二つの尾根が走る独特の地形(二重山稜)をなしています。一つだった尾根が二つに裂けてできた(岩盤クリープ)可能性を地質学者が指摘しており、地下に断層などの存在が疑われる場所です。

 参加者は南側の尾根を西から東へ、一列に進みました。右手のがけには、国交省自ら「緩みゾーン」と名付けた直径約100?の地滑り土塊があります。のぞきこむと、各所で赤土がむき出しに。孟宗竹の林が崩壊を防いでいました。

 尾根の先からは林の中を下ります。おとな一人がやっと通れるような狭い道、右も左も足を踏み外せば転げ落ちそうな急斜面です。がけの先端にたどりつくと、右下に赤いリボンの目印が見えました。そこがダムの接する地点だと伊奈さんが説明しました。両脇ががけのような場所に巨大ダムの端を付けて大丈夫なのか―。

 参加した豊橋市の男性(81)は「危険だと聞いてはいたが、現場を見てはっきり分かった。緩みゾーンのえぐれは危険だ。集中豪雨で深層崩壊が頻発する今、こんな場所にダムを造るべきではない」と語りました。

 

緩みゾーンも

 国交省も「緩みゾーン」は危険と判断。わずかに上流へダム本体の場所を変更しました。ところが、移動先の地下では複数の断層が確認されており、同会はさらなる調査を求めています。

 多目的ダム計画が豊川上流の寒狭(かんさ)川に持ち上がったのは1973年でした。総貯水量9800万?と湛水面積約300?は群馬県の八ツ場(やんば)ダムに匹敵します。今年度は約100億円もの予算がつけられました。完成予定は2020年です

 国交省による設楽ダムの目的は、洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水等の利水です。

 会の市野代表は、治水は部分的な河道掘削と樹木伐採で対応でき、水道水源としても過大な需要見積もりをただせば不足はないと見ています。貯水容量の大半を占める流水の正常機能維持については「過去の水資源開発で川の流量が減ったから、巨大ダムを造って流すというのは本末転倒です。これが通れば?自然に優しい?ダム造りが全国で行われてしまう」と批判しています。

日本共産党の、もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補の話

災害を招く可能性が指摘されています。地盤・断層の再調査をするべきです。党は、総事業費3000億円以上、愛知県民の負担は1400億円。ムダで環境破壊の設楽ダムは、中止すべきです。(9月28日)