名古屋市長が試算約束
愛知県内の約60の公害・環境団体が参加する「健康と環境を守れ!愛知の住民いっせい行動実行委員会」(会長・野呂汎弁護士)は9月1日、名古屋市役所で河村たかし市長と会い、環境保全と公害対策、患者救済の充実などを要請しました。
この要請は1977年から毎年実施しているもの。今回は、河村市長就任後初めての要請です。この日の要請団体は愛知県公害患者の会連合会、愛知県保険医協会、志段味の自然と歴史に親しむ会など11団体で、約80人が参加しました。
県公害患者の会は、河村市長に対し、大気汚染公害被害者すべての人に医療費を助成するよう求めました。同会は、現在の市の助成制度について、公開患者の新規認定が打ち切られているにもかかわらず、助成は認定患者だけに限られていることを指摘。「名古屋市内のぜんそく患者の多くが大気汚染の被害者だと思われます。市内すべてのぜんそく患者の医療費負担分を市が助成した場合、どのくらいの額になるか試算し、開示してほしい」と要請しました。
市長は「わかりました。これは一度やってみるべきだ」と回答し試算することを約束しました。
市長退席のあと、関係部局との話し合いになり、県保険医協会は市長が試算を約束したことを踏まえ、試算に必要な市内のぜんそく患者の実数を把握しているのか質問しました。市側は、厚労省による推計数のデータしか持っていないと回答。会場から「ぜんそく患者は毎日苦しんでいるのに、市はその実態の調査もしていないのか」など厳しい指摘を受け、実数の調査を検討するとしました。
ほかにも、中部国際空港の第2滑走路建設中止、志段味の開発中止、矢田・庄内川の環境保全、春日井市の産業廃棄物焼却施設によるダイオキシンなどの影響調査、名古屋市の新幹線騒音の改善、多くの患者が利用する市バス停留所へのベンチの設置などを要請しました。
要請行動の後、同実行委員会事務局の村上誠治氏は「東京では、公害認定の有無にかかわらず、ぜんそく患者すべてが医療費助成など救済されています。これまで市はこういった動きに対し一切の検討を拒否してきましたが、今回、試算をするという明言がありました。これは患者救済の大きな一歩になります」と語りました。