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【09.01.20】いまこそ市政の流れを変えるとき(09年4月名古屋市長選挙にあたって) 2009年1月20日 日本共産党愛知県委員会 日本共産党名古屋市議団

一、名古屋市長選の意義

 名古屋市長選挙が、四月十二日告示、二十六日投票で行われます。

 昨年の秋、松原名古屋市長は次期、名古屋市長選挙に立候補しない意向を表明しました。

 松原市長は、一九九七年四月の初当選以来三期、日本共産党を除く「オール与党」会派(現在、民主、公明、自民、名古屋市会自民)に支えられながら名古屋市長を務めてきました。松原市政の三期は、国の悪政=小泉「構造改革」路線いいなりに、敬老パスの有料化、国保料の引き上げ、小中学生への就学援助の引き下げ、学校運営費の四割カットなど百三十九項目以上にも及ぶ施策を切り捨てる市民の福祉・くらし・教育に冷たい市政をすすめる一方で、中部財界の要望・意向を最優先し、徳山ダムなど不要不急の大型開発やミッドランドスクエアなど大企業ビルへの助成などに税金をそそぎこみ、現在も、中部財界がポスト万博の目玉として推進している中部国際空港の第二滑走路建設や、名古屋都市圏で推進する大型プロジェクトとして明記している名古屋城本丸御殿復元をはじめとした四大プロジェクトなどをすすめています。

 松原市長の不出馬表明は、松原市政が市民の望む市政と相反し、市政がゆきづまった結果の不出馬といえます。小泉構造改革をすすめてきた自民党・公明党の国の悪政のもとで、悪政の防波堤となり、住民の福祉の増進を図るという自治体本来の役割が、今ほど名古屋市政に求められている時はありません。

 同時に、国政においても、アメリカ・財界いいなり、小泉「構造改革」路線をすすめてきた自民党政治への国民の厳しい批判が集中しています。麻生・自民公明政権の支持率は二〇%台をわるところまできており、まさに末期状態となっています。構造改革路線は、アメリカ発の金融危機とあいまって、大量の「派遣切り」「雇い止め」という「政治災害」を引き起こしました。これに対し、麻生・自民公明政権は十分な対応ができないばかりか、経済効果のない「定額給付金」に二兆円も税金をつかい、三年後の消費税増税に固執するなどいっそう日本経済と国民生活の破壊をすすめようとしています。若者の間で労働者が団結して、企業に立ち向かう「蟹工船」がブームとなるとともに、実際に派遣労働者が労働組合をつくり、企業や政治に働きかけはじめています。いま社会的反撃が強まって、多くの国民が自民党政治にかわる「新しい政治」を求めています。いつ解散・総選挙になってもおかしくない状況であり、国政でも国民本位の日本をつくる審判がすすめられようとしています。

 かつて七〇年代に、名古屋市民は市民本位の市政を実現し、憲法を市政に生かし、「福祉・教育日本一」といわれるような市政をつくりあげました。しかし、この間の「オール与党」市政はこの市民本位の施策をどんどん削ってきました。いま多くの市民が市民犠牲、財界奉仕、大型プロジェクト優先の市政から、憲法を守り、国の悪政に抗して、市民が主人公の市政への変革を求めています。

 こうしたもとでたたかわれる今回の市長選挙は、民主党を第一党に、自民、公明によってささえられてきた、「オール与党」市政による市民犠牲、財界奉仕、大型プロジェクト優先の政治の流れや、主人公である市民に背をむけ、国の悪政に追随し、悪政をおしつけてきた流れを変えて、憲法九条「恒久平和」、憲法二十五条「生存権」、憲法九十二条「地方自治」など、憲法を地方政治に生かして、国の悪政と中部財界に堂々と物をいい、「市民が主人公」「くらし、福祉」第一の市政をつくるたたかいです。同時に、同時期に行われる可能性が高い衆議院選挙と呼応し、これまでの自民党政治、自民党と根本では変わりのない民主党に対し、国民本位の新しい政治への転換を求める名古屋市民の意思をしめすたたかいでもあります。

二、松原「オール与党」市政三期の主な悪政と名古屋市長選挙の争点

(1)雇用破壊・景気悪化から名古屋市民のいのちとくらしを守るかどうか

 小泉構造改革がすすめた、労働のルールの破壊による「派遣切り」「雇い止め」によって、厚生労働省の調査でも今年の三月末までに全国で八万五千人、愛知でも一万人以上の失業者がでることが予想されていますが、実際はこの数倍以上の失業者がでるとの報道もあります。また、中小企業への影響も深刻です。市内の事業所数や従業員数は減り続けていますが、この三年間でもそれぞれ七・五%、五・七%減少しています。愛商連の調査では、売り上げ、利益とも六割近くが減となっています。そのうえに、昨年の石油高騰、原材料高騰や消費不況によって、不況型の倒産も増加しています。

 こうした中で、昨年末から今年初めにかけて「派遣切り」「雇い止め」によって職と住居を失った人たちへの対応が名古屋市に求められました。名古屋市は、年末年始、緊急対応を行ってきましたが、宿泊施設の確保をいったん停止することになりました。日本共産党の国政候補や名古屋市議団を先頭に〃一人も路頭に迷わせない〃、との市民の運動で、住居を確保することになりましたが、市民のいのちとくらしを守る自治体の姿勢が問われました。

 いま、市政に求められていることは、市長を本部長とする「雇用・経済対策本部」(仮称)を設置し、「派遣切り」「雇い止め」などの解雇や新規採用者の内定取り消しをしないように大企業に強く求めること、住居や職を失った人に住居を確保し、職の支援をすることなど目の前の困難者への総合的な対策を国、県とともにすすめることです。 

 同時に、市として雇用創出をすすめるために、市独自の雇用を進め、公契約条例で、市関係企業に、時給千円以上を求めるとともに、生活改善型公共事業として、地震対策、災害対策、生活道路、公共住宅建設などをすすめ、地元業者への受注を促進し、地域経済の活性化をすすめる必要があります。また、銀行の貸し渋り、貸しはがしを許さず、大企業からの違法な下請単価の切り下げや大店舗の勝手な進退出を行政としてただし、中小企業振興条例(仮称)を策定して、総合的な中小企業支援策を行うことが必要です。

 国に対しても、市民のくらしと経済を悪化させる消費税増税に断固反対する姿勢が求められています。

(2)後期高齢者医療制度の廃止を求め、介護保険、国民健康保険、公立病院など社会保障を充実するかどうか

 松原「オール与党」市政は、この間、市民に犠牲を押し付ける施策をすすめてきました。主なものだけでも、敬老パスの有料化、福祉給付金制度の改悪による対象者の七割減、介護保険料の引き上げ、要介護高齢者等福祉金の廃止、成人基本検診の有料化、守山市民病院における分娩の中止などがあげられます。とくに、「後期高齢者医療制度」がはじまり、市民への負担が大きくなっているにもかかわらず、市は独自に実施してきた七十五歳以上の国民健康保険料減免を廃止しました。このため、新たに五万五千人の方の負担が増えることになりました。

 被害をうけているのは、高齢者だけではありません。国民健康保険証をもたない中学生以下の子どもは厚生労働省の調査によると、全国で三万三千人、名古屋市では百世帯百五十一人(〇八年十二月末現在では七十一世帯百十一人)がいると発表されました。

 いま市政に求められていることは、第一に、後期高齢者医療制度の廃止を国に求めつつ、資格証明証の発行をしないことや市独自の減免制度を復活させることです。第二に、国民健康保険料を引き下げ、資格証明書の交付をしないことです。第三に、介護保険料を四月から値下げし、利用料の減免、特養ホームの増設を求めることです。第四に、守山市民病院における分娩を復活させ、市立病院を充実させて、市民が安心して医療が受けられる地域医療の充実をはかることです。第五に、障害者自立支援法の廃止を国に求め、障害者施策の充実をはかることです。

(3)子育て支援を充実し、安心して生み育てられる名古屋市をつくるかどうか

 松原「オール与党」市政のもとで、二十一世紀の名古屋と日本を担う世代に対しても、市民の運動で、子どもの医療費無料化の対象拡大、妊産婦検診の無料回数の増大や「少人数学級」の対象の拡大が行われましたが、全体としては大鉈(なた)がふるわれ、施策の縮小や市民の願いに逆行する施策が強行されました。

 則武保育園の民営化をはじめ、公立保育園の民営化がすすめられようとしていますが、昨年九月に公表された「保育所整備計画」案では二〇一六年度までの九年間で二十~二十五の公立保育園を民営化し、さらに十九~二十三の公立保育所の統廃合・民営化も検討するとしています。このことは国が「保育の市場化」をはかり、保育への責任を放棄しようとしている時に、松原市政は「悪政の防波堤」になるのではなく国の悪政の推進役として、地方自治体としての公的保育をなげすてようとしていることにほかなりません。学童保育についても同様です。松原市政はトワイライトスクールと学童保育を「一体的」に行う、「名古屋市放課後子どもプラン」の全面実施をねらっていますが、学童保育の「専用室」も「専任指導員」もなく、小学四年生以上を対象にしない計画は、学童への保育を縮小し、実質、既存の学童保育のトワイライトスクールへの統廃合をすすめようとしているものです。

 いま市政に求められるのは、「子どもの権利条約」「なごや子ども条例」を市政にしっかりと位置づけ、公的保育を維持し、地域の子育て支援に責任をもつことです。「名古屋市放課後子どもプラン」を見直し、学童保育への補助を対象・金額とも拡大し、すべての小学校区に学童保育所を設置することが必要です。教育予算を大幅に増額し、正規教員の採用数を大幅に引き上げ、三十人学級を小中学校のすべての学年での実施をめざし拡大し、全国いっせい学力テストに反対し、真の学力向上を進めることが必要です。就学援助認定の所得基準を引き上げ、市民の要求に基づいた市営プールの維持が求められています。

(4)地球に優しい環境を求め、地球温暖化抑止と生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)を実効あるものにできるかどうか

 松原市長は、二〇一〇年の生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)の名古屋開催をめざし、名古屋を「環境都市」にするとしていますが、実態はまったく逆行するものとなっています。都市再開発による超高層ビルの林立や不十分な農業支援などで、名古屋市内の二酸化炭素は増え続け、食料自給率は一%にすぎません。

 いま市政に求められているものは、COP10開催を一大観光イベントとせず、地球環境と生物多様性の保全の国際会議の開催地にふさわしく市内の環境施策を充実させることです。国際会議開催に便乗した大企業への支援や不要不急の公共事業は行うべきではありません。名古屋市内の温暖化抑止のために「地球温暖化対策条例」(仮称)を制定し、温暖化ガス削減の節目標を定め、工場や事業者の温暖化ガス排出や超高層ビル建設への規制を強めることが大切です。公共交通機関の充実や郊外の農業振興などで、市域面積の緑被率(田畑や公園など植物でおおわれている面積の割合)や食料自給率を高める取り組みが必要です。

(5)財界の意向にそった大型プロジェクト推進でなく、平和を守り、市民参加の市政にするかどうか

 松原「オール与党」市政は、市長など市の最高幹部に財界人など経営アドバイザーを加えた「経営会議」(非公開)を設置し、財界の意向に沿う市政運営をすすめてきました。「受益者負担」「外部評価」をテコに、「くらし・福祉」の施策を大幅に切り縮めてきました。市の事業に対する住民説明会やパブリックコメントはありますが、「説明するだけ」「意見を聞くだけ」で、市民の意見を尊重した市民参加の市政運営にはなっていません。その一方で、中部財界がめざす高規格道路整備や大型プロジェクトについては、名古屋本丸御殿の復元(約百五十億円)、徳山ダム導水路建設(約百二十億円)などが積極的にすすめられ、大型プロジェクトを推進し、地方自治体の役割を否定する「道州制」や「スーパー指定都市」構想がすすめられています。また、松原市長は、名古屋港管理組合の港湾責任者として、市民や労働者を危険にさらす米軍艦船の入港を容認し、「非核名古屋港宣言」にも後ろ向きの姿勢をとっています。さらに国民保護法の施行にともなう「保護計画」を策定し、行政と町内会・自治会が戦争の備えに深く組み入れられる危険が高まっています。

 いま市政に求められているのは、四大プロジェクトを見直す(名古屋城本丸御殿復元の凍結、ものづくり交流拠点構想の中止、陽子線がん治療施設の凍結・見直し、東山動植物園再生計画の縮小・見直し)とともに、憲法九条や憲法九十二条を名古屋市政に生かすことです。「道州制」導入の動きにきっぱり反対し、平和を発信する市政と行政を貫くとともに、情報公開を徹底し、各行政区に住民による「百人委員会」(仮称)を設置するなど、市民参加の市政運営をすすめることが必要です。

三、太田よしろうさんでこそ市政の流れを変えることはできます

 革新市政の会は臨時総会で、太田よしろうさんの推薦を決定し、太田よしろうさんと革新市政の会は太田氏が革新市政の会の政策を尊重する旨が記述された政策協定、組織協定を一月九日に締結しました。

 太田よしろうさんは、一九四四年名古屋市で生まれ、名古屋市で育ち、名古屋市で米穀業を営んできました。この間、業者の悩みや営業の相談、業者と消費者運動との連携など業者運動の先頭にたち、愛知県商工団体連合会会長、全国商工団体連合会副会長・付属中小商工業研究所運営委員長などをつとめるとともに、学童保育、障害者のための作業所設立や民主的法律事務所設立など地域での要求運動実現の先頭にもたってきました。庶民の立場に立って、市民の思いに寄り添い、市民の願いを実現するリーダシップをもつ、大企業にきちんとものが言える市民本位の市政を担うにふさわしい候補者です。財界から政治献金を受け取り、財界の意向にそって政策をすすめている、民主党、自民党、公明党に推薦される候補者では誰がなろうと、こうした姿勢を貫くことはできません。

 企業や団体から一円も受け取らず、反戦平和・「国民こそ主人公」を貫き、草の根で国民と結びついている日本共産党が参加している革新市政の会の予定候補者だからこそ、市民本位の立場を貫くことができます。実際、年末年始と職と住居が奪われた人たちが、救いを求めて中村区役所に殺到した時、太田よしろうさんは現場に出かけ、住居を確保するために、市や県と交渉するなど大奮闘しました。現場にもこず、対応の打ち切りを決めた松原「オール与党」市長とは大きな違いがあることは明らかです。

 日本共産党は、太田よしろうさんを市長に当選させ、市民本位の市政を実現するために全力をあげるものです。

四、市長選勝利を総選挙勝利と一体にどうたたかうか

 市長選挙は総選挙と同時期に行われる可能性もあります。こうした状況をふまえて、総選挙勝利に向けての支部・後援会の体制を確立するとともに、そこに名古屋市長選挙を位置づけ、支部を主役に全有権者規模の宣伝戦や組織戦を展開します。三月六日には、市田書記局長を弁士とした市民大集会(市公会堂)を予定しています。この市民大集会を成功させるとともに、市民大集会と名古屋市長選挙の告示日を活動の節として宣伝戦、組織戦を大きく前進させましょう。

(1)全有権者の心をとらえる大量宣伝活動

 国政での自民党政治の悪政の告発とあわせ、市民犠牲と財界奉仕のオール与党市政の流れを変える政治宣伝を旺盛に取り組むことが重要です。松原「オール与党」市政の悪政を暴露し、我々の政策・対案を示し、「市民犠牲強化のオール与党市政か、それとも市政の流れを変え、市民の暮らしを第一に市民本位の市政を進める太田さんか」と押し出します。

 全有権者対象の全戸ビラ(みんなの市政、愛知民報号外、地域民報など)配布や宣伝カー、ハンドマイクによる街頭宣伝を旺盛に行うとともに、綱領を語り、日本の前途を語る「大運動」の一環として、車座集会・小集会・演説会に取り組み、日本共産党を丸ごと知ってもらう全有権者を対象とした大量宣伝を繰り広げます。

(2)対話・支持拡大と党勢拡大

 総選挙での得票目標、支持拡大目標を基本におきつつ、「有権者の過半数」を視野に、党の支持者名簿や各種つながり名簿、テレデータも活用して、対話・支持拡大をどんどん進め、署名や「赤旗」を持って地域総訪問活動を展開します。名古屋市内の党組織は必ず、総選挙での比例での日本共産党の支持を訴えるとともに、名古屋市長選挙での太田候補支持を訴えるようにします。名古屋市外の党組織も結びつきを生かし、名古屋市内の有権者には同様に訴えます。臨時電話や電話センターを確保し、思い切った電話作戦にも取り組みます。党員や後援会員には「活動袋」、読者にも「依頼袋」を渡し協力を訴え、支持拡大に取り組む人を大きく広げます。

 同時に、総選挙とともに名古屋市長選勝利の土台となる、党員拡大、「しんぶん赤旗」読者拡大を支部を基礎に支部目標を明確にして取り組み、名古屋市長選挙勝利のための大衆募金を旺盛におこないます。

(3)行政区の革新市政の会を強化と市長選にむけての要求運動

 各行政区での革新市政の会を強化するとともに、名古屋市に対し、「雇用の創出」「国保の引き下げ」、「市民病院を守る」などの署名、「公立保育園を守る」直接請求署名、宣伝など要求運動を旺盛に展開し、オール与党市政を追い詰めるとともに、市民本位の市政をつくる流れを市民の中で強く太くしていきます。
市民に犠牲を強いる「オール与党」市政の流れを変えるのは、太田よしろうさんです。総選挙勝利とともに名古屋市長選挙勝利へむけ、大きなうねりをつくりだしましょう。