ニュース

【07.02.06】愛知県知事選挙の結果について

      二〇〇七年二月六日  日本共産党愛知県常任委員会

一、二月四日投票の愛知県知事選挙で、日本共産党が推薦する「革新県政の会」のあべ精六候補は十六万八百二十七票(得票率五・四六%)を獲得しましたが、自民党・公明党推薦の現職、神田真秋氏が百四十二万四千七百六十一票(得票率四八・四三%)を獲得して当選するという結果になりました。民主党・社民党・国民新党推薦の石田芳弘氏も百三十五万五千七百十三票(得票率四六・〇九%)を獲得しました。
 日本共産党は、あべ精六氏へ貴重な一票を投じていただいた県民のみなさんに心からお礼を申し上げるとともに、大奮闘された、あべ氏と「革新県政の会」に結集し、共同されたすべての方々に、心から感謝と敬意を表するものです。

一、今回の知事選挙は、国政での自公政権による悪政と、「オール与党」県政による県民犠牲の悪政が続くもとで、「県政の転換」をもとめる声がかつてなく高まるなかでのたたかいでした。実際、党のアンケートやマスコミの世論調査でも、「負担増反対」「介護・医療・福祉の充実を」「子育て・教育」などの切実な要求が明確に示されていました。
 私たちは、国の悪政と県民犠牲の「オール与党」県政を変えてほしいという少なくない県民のみなさんの声を真摯に受けとめ、立候補を表明した元犬山市長であった石田氏との共同への努力をすすめ、県民の要求に応える政策的合意を追求しましたが、この共同は、民主党などの妨害で実現しませんでした。このぎりぎりまでの努力が、結果として選挙戦への出遅れをつくりましたが、県民の県政転換への願いに応えるうえでも、「革新県政の会」として団結したたたかいをつくりだすうえでも重要な過程でした。こうした経過をふまえて、十二月四日、日本共産党と「革新県政の会」は、あべ候補を擁立してたたかうことを決定しました。あべ候補は、「元気な愛知」が県民の実感とかけはなれていることを指摘し、「オール与党」県政を厳しく告発し、「増税・負担増反対」「税金の使い方を、大型開発優先・大企業奉仕から、くらし・福祉優先に転換」し、「県民の暮らしを守る防波堤の県政へ」と訴えました。立候補を表明して二ヵ月という短期間でしたが、あべ候補の訴えが論戦をリードし、争点を明確にして対立軸を県民に示し、届いたところでは大きな共感をえることができました。あべ候補の政策と日本共産党と「革新県政の会」の運動は、神田候補に「子どもの医療費無料制度の対象年齢の引き上げ」を約束させました。また、子育て政策の発展、ホワイトカラー・エグジェンプション中止を含む働くルールの確立などの訴えは大きな力を発揮しました。 
選挙戦全体は、三十二年ぶりに相乗りが崩れたもとで、「自民か、民主か」の「二大政党の対決」という「偽りの対決」の大キャンペーンが展開され、最終盤には、「県政を変えたい」「政治を変えたい」という県民の思いが、庶民大増税をすすめる安倍・自公政権と柳沢厚労相の発言への怒りも加わり、無党派層を動かし、投票率の上昇となりましたが、民主党などが推薦する石田氏への投票行動として現れる結果となりました。こうしたなかで、あべ候補に寄せられた十六万票は「『オール与党』県政を転換する候補者は、あべさんだけ」ということを見抜いた貴重な一票一票であり、知事選挙ですすめた論戦とともに、次のたたかいに生きるものとなりました。

一、今回の知事選挙の結果について二つの角度で教訓を深めることが重要です。
第一に、今回の知事選では、愛知県では三十二年ぶりに「オール与党」相乗りが崩れ、「二大政党づくり」の流れが持ち込まれるもとでのたたかいでしたが、これを本格的に打ち破るたたかいが、全有権者規模で展開しきれなかったことがあります。日本共産党第三回中央委員会総会決定では、「今日の民主党をどうみるか」として、「(民主党は)憲法改定、消費税増税、選挙制度改悪など、日本の進路にかかわる重大問題について、自民党政治と同じ流れに合流し、財界からもアメリカからも信頼されるもう一つの保守政党への変質をとげ」たこと、「地方政治ではほとんどの場合、文字通りの与党となっている」ことを明らかにしたうえで、「知事選挙などで自公系候補と民主系候補が『対決』しても、ほとんどの場合、『オール』与党体制は変わりません」「自民・公明・民主は、選挙で『対決』してもしなくても、勝っても負けても、終われば『オール与党』のさやにおさまる」ことを全国的な事例を示して解明しました。今回の知事選でも、神田陣営は、「現県政の継続」を前面に打ち出し、石田陣営も「神田知事の実績を高く評価」「万博・空港の二大プロジェクトの成功」など、「現県政の継続」の枠から一歩も出ないものでした。「二人は米国の共和党と民主党のようなもの。八割は同じ」(民主党・伴野衆議院議員)と当事者自身が語り、三重大の児玉教授は「自民推薦の神田氏と民主推薦の石田氏が出したマニフェストは似たり寄ったり。政党の看板を入れ替えても通用する中身だった」(〇七年二月五日「朝日」)と指摘したようにいずれが勝っても「オール与党」体制に変化がないということが選挙戦の具体的な論戦を通して鮮明になりました。しかし、こうした選挙の真の対決構図を、広範な県民のなかに浸透させることができず、「民主党よりまし」論、「神田氏より石田氏の方がよりまし」という幻想が県民と民主勢力の中にも持ち込まれ、それを跳ね返すたたかいにとりくみましたが、最後まで払拭しきることができず、「県政を変えたい」という県民の熱い思いを、あべ候補への投票行動に結びつけることができませんでした。
 第二に、日本共産党と「革新県政の会」のとりくみの問題では、選挙戦への出遅れがあっただけに、「二大政党の対決」という流れを押し返しながら、全有権者規模で、あべ氏の名前と訴えを浸透させるためには、知事選をたたかう構えの確立と全党の総力を発揮することが求められましたが、最後まで全党の立ち上りの点でも、やるべきことをやりぬく点でも弱点を残したことを直視しなければなりません。選挙戦の宣伝・組織活動の到達点をリアルに見れば、読者・支持者の一部にも声をかけきれなかった人を残すという状況もありました。時間不足や「二大政党づくり」の強まりなどの困難さがあったことは事実ですが、全党の持てる力を出しきるなら、さらに前進が可能であっただけに、この点での立ち遅れは、率直に反省しなければなりません。

一、今回の知事選挙で、「増税・負担増はごめん」「ムダづかいをやめて、暮らし・福祉を充実してほしい」という県政に対する県民の切実な願いと県政転換をもとめる県民の意思が明確に示されました。「たしかな野党」である日本共産党が伸びてこそ、県民の願いが実現できるという訴えが届けば、日本共産党が前進できる条件は広がっています。
 日本共産党は、県政転換への県民の期待に応えるためにも、知事選挙をともにたたかったすべての方々と基本政策・公約実現の共同のたたかいを強め、どのような情勢のもとでも勝利と躍進をかちとれるように草の根から党の拡大強化をすすめ、県議空白克服をはじめ、いっせい地方選挙での勝利と参院選での勝利に向けて全力で奮闘します。
 県民のみなさんの引き続くご支援とご協力を、心からお願いいたします。

以上