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【06.03.12】神田県政 「高度先端産業立地促進補助金」 三菱10億円、豊田自動織機8億円 弱者支援の補助金は削る 

3月112日「愛知民報」

 愛知県の神田県政は弱者支援の補助金を減らす傾向を強めていますが、その一方で、大企業支援の補助金を増やしています。

 現在開会中の県議会で審議されている2006年度県予算案には、三菱重工業や豊田自動織機など5社にたいし「高度先端産業立地促進補助金」11億7253万円が計上されています。

 愛知県の06年度高度先端産業立地促進補助予定先

 企業名 補助事業  補助額総額  補助交付期間 
和光純薬工業 有機合成化学品および医薬品原料の製造  6億5,353万円  04~06年度 
豊田自動織機 有機EL製品の研究開発、生産  7億9,690万円  05~07年度 
オムロン カーエレクトロニクスの研究開発  3億4,327万円  06~07年度 
三菱重工業 ボーイング次世代旅客機の主翼製造  10億円  06~08年度 
富士重工業 ボーイング次世代旅客機の中央翼製造  5億5,300万円  06~08年度 

 この補助金制度は、企業が高度先端技術を使う製品の製造または研究をおこなう工場や研究所を県内につくる場合の優遇措置。工場の場合、土地を除く固定資産の取得費用が50億円以上で、その10%以内、最大10億円まで補助金が交付されます。

 1999年に県がつくった立地促進補助金制度は中小企業が対象。市町と補助金を出し合う補助制度で、県の補助限度額は5億円でした。これに加えて03年度につくった大企業に県が単独で直接補助する制度がこれ。

 三菱重工業への直接補助は限度額いっぱいの10億円。同社は、名古屋市港区大江町にある三菱自動車の遊休工場を買取り、米航空機会社ボーイングの新旅客機B787の主翼を製造します。県は、三菱の遊休工場は長崎や広島にもあるなかで、新型機の生産施設を県内に呼び寄せたのは補助金の効果と見ています。

 “呼び寄せ効果”は疑問です。もともと愛知県は全国屈指の航空産業の集積地。新工場の隣には三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所があり、航空機製造の適地です。三菱グループの遊休施設活用に10億円もの補助金は「立地促進」に名を借りた大企業サービスといえます。

 3年連続1兆円純利益のトヨタ自動車の本家、豊田自動織機にも05年度から07年度にかけ合計7億9690万円の補助金をはずみます。

 神田県政は大企業補助をすすめる一方で、両親または片親のいない18歳以下の児童の養育者に支給している遺児手当を支給開始後5年間で打ち切る改悪をおこないました。このため、遺児手当予算は今年度約45億円から来年度約37億円に、8億円近くも削減されています。