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【06.01.29】ゆきづまる開発政治 県民にツケ回すな ピーチライナー 廃線検討に住民の怒り噴出 ラグーナ蒲郡 資産価値下落で血税投入か

1月29日「愛知民報」

 小牧市内を走る新交通システム・桃花台線=ピーチライナーが廃線の危機に直面し、「ラグーナ蒲郡」は会計方式の変更で資産価値が下落し公金投入による支援必至といわれています。いずれも愛知県と地元自治体、民間企業が出資する第3セクターの株式会社が運営しています。開発政治がゆきづまりを見せるなか、関係自治体議員の発言を紹介します。

小牧市 竹内里美市議

 桃花台ニュータウンと名鉄小牧線の小牧駅までの約7・7キロを結ぶ桃花台線・ピーチライナーが走っています。2001年3月に供用開始され、今年3月で15年になります。

 これを運行する桃花台新交通株式会社が債務超過63億円に陥り、愛知県はこの3月で本音は廃止したいというので、地元住民は無責任だと怒っています。

 桃花台線の当初計画では、ニュータウン完成時には人口5万4000人になり、1日1万2400人が乗るので供用開始後6年目に黒字、19年目には累積赤字解消という見通しでした。

 ところが、現在の人口は2万8000人、桃花台線の乗降客は1日約3600人。当初目標の4分の1です。年間収入2億円にたいし支出4億円。2億円の赤字です。

 建設事業費総額は313億円。大問題になっているのが、新交通会社が負担した156億円のうち約90億円を住民が建設負担金として払っていることです。これはピーチライナーで受益があることを根拠に土地代に加算したものです。

 昨年、もっと経費のかからない交通システムをということで、トヨタが愛知万博で使った無人バスの導入が検討されました。ところが、当初の見積りより随分お金がかかる。未開発で実用化はかなり先という答えが最近になって出ました。今年の秋には資金も枯渇する見通しというのです。

 いま、桃花台の住民は猛反発をしています。住民説明会には5百人以上が参加し、背信行為だと怒りました。ピーチライナーという新交通システムがあるというからここに来たのにと。

 建設費と取壊費用を合わせると5百億円もかかる。全く無責任です。90億円を負担している最大“株主”の住民の意見をまともに聞かず、セレモニーだけで廃線を決めるなんてとんでもないと非難ごうごうです。

 ピーチライナーはもともと県の広域鉄道網に位置づけされたもので、環境やエネルギー問題を考えると、公共交通の鉄道や軌道を残すべきだという意見も出ました。

 日本共産党は、桃花台線は需要見込みが非常に甘いことや建設費が大きく投資効果に疑問があり時期尚早、と指摘してきました。住民要求の強い桃花台からJR春日井駅とのバス路線をつくる先頭に立ってきました。

 しかし、つくられたものを廃止するということになると事は違う。21世紀を展望し自動車依存から鉄道・軌道への転換が必要ではないか。3月に結論を出すのではなくて、最低1年は議論し、桃花台線を守っていく方向を探ろうと考えています。

蒲郡市 柴田安彦市議

 ラグーナ蒲郡は、蒲郡市大塚の前に広がる三河湾を埋め立ててつくった複合レジャー施設です。テーマパーク、アウトレット、マリーナなどがあります。愛知県、蒲郡市、トヨタ自動車などの出資で設立した第3セクター・蒲郡海洋開発株式会社がここを開発、運営しています。

 これが、減損会計の導入で、195億円の債務超過になるというのです。上場会社、資本金5億円以上の会社、債務が200億円以上ある会社は、2005年度決算から減損会計を導入しなければならなくなりました。利益を生まないような固定資産はそれを売却したときの価格で計上しなさいというのが新しい考え方です。

 観覧車やジェットコースターなど遊園地の施設は何百億円もかけてつくりますが、いまさらジェットコースターを買う人はいませんからただ同然なんです。

 決算書では、土地が97億円、土地以外が167億円という固定資産をもっていたのですが、減損会計で評価すると、土地は87億円、土地以外はわずか13億円になってしまいます。それで、債務が大幅に増えてしまうことになるわけです。

 問題は、こんな大赤字の会社をどうするかということです。普通の会社なら融資がストップして倒産する。ところが、ラグーナ蒲郡というのはトヨタが351億円融資をしています。しかし、トヨタの株主総会で、そんな会社にお金を出すなということになると困ったことになります。

 それで164億円の評価損を増資でなんとか埋め合わせしようというのが今の考え方です。蒲郡市の出資比率は4分の1ですから、だいたい40億円余りを新たに出資しなければならない。蒲郡市の一般会計規模は250億円足らずですから、40億円なんて出すわけにはいかないというのが現状です。

 議会での論戦の中で、市当局は財政的に大変きびしくて増資に応じられる状況ではないというのですが、応じないとは言わない。26%出資している県の動きを注目したいと言っています。

 ラグーナは、バブル崩壊後、リゾートブームが終わりかけた頃にはじめた事業です。日本共産党はこの無謀な開発に反対しました。海洋会社の経営破たんをとりつくろうために、増資と減資を繰り返しながら、どんどんお金をつぎ込んでいます。開発優先政治のなれの果てです。

 市議会の論戦で、債務保証はしないと市に約束させ、毎年議会に会社の収支報告を必ず提出させるようにしました。

 市民の血税を無駄づかいさせない取り組みをすすめていきます。