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【05.12.11】日本共産党調査団 フェロシルト製造現場に立ち入る

12月11日「愛知民報」

廃液不正混入 “会社ぐるみ”を追及

 日本共産党のフェロシルト問題調査団が2日、製造元の石原産業四日市工場(三重県四日市市石原町)に立ち入りました。佐々木憲昭衆議院議員を団長とし、フェロシルトが持ち込まれた愛知、三重、岐阜3県の地方議員らが参加。愛知からは、八田ひろ子前参議院議員、林のぶとし前県議、塚本美幸尾張旭市議、原田秀俊長久手町議が加わりました。

 一行は、会社側の案内で、フェロシルト製造工程と、愛知県などの使用現場から回収したフェロシルトの仮置き場を視察しました。

 フェロシルトの製造工程では、他の工程から出た廃液を混入させるために特設された塩ビパイプを確認しました。農薬製造の廃液も混ぜていました。佐々木議員らの質問にたいし担当者は設備運転室のパソコンで廃液の導入を操作できたことを認めました。

 フェロシルトの仮置き場の容量は総20万トン。チタン鉱石の置き場をコンクリートの擁壁で4区画に仕切ったものです。

 製造工程の調査後、会社側との質疑応答がおこなわれました。安藤正義常務らはフェロシルトの本来の製造工程でも条件によって六価クロムがでること、他の酸化チタン製造工程からの廃液混入でふっ素がフェロシルトに混じることを認めました。しかし、廃液混入は元副工場長の「一存で実施」されたとして“会社ぐるみ”の不正を否定しました。

 これにたいし、萩原量吉前三重県議は「大がかりな不正混入を会社が知らなかったはずはない」として“会社ぐるみ”の不正行為の疑惑をきびしく指摘しました。

 「愛知県内は13カ所だけか」との林前県議の質問にたいし、安藤常務は伝票上の出荷は瀬戸市内3カ所だけだが「転売で全容はつかめない。一切出ないとはいえない」とのべ、今後、投棄個所が広がる可能性を認めました。また、回収予定量を埋め立てる最終処分場は確保されていないことを明らかにしました。

 佐々木衆院議員は、同社にたいし早期撤去、原因究明、再発防止に取り組み、社会的責任を果たすよう求めました。

解説
コスト削減 至上命題 廃棄物処理費を浮かす 石原産業

 「フェロシルト」は、白色顔料の原料となる酸化チタンのメーカー・石原産業(大阪市)が開発した土壌埋め戻し材。酸化チタンの製造工程で出る使用済みの硫酸を中和処理してつくられます。

 大量に出る有害な廃硫酸汚泥などの廃棄物の処理費を軽減することが、コスト削減、競争力強化を至上命題とする同社の課題でした。

 1997年に廃硫酸のリサイクル活用の研究に着手。2001年8月「フェロシルト」の商品名で、土壌埋め戻し材として販売を開始。03年9月、三重県がこれを「リサイクル品」に認定し利用が広まりました。

 フェロシルトの販売価格は1トン当たり150円。実際には石原産業側は用途開発費や運搬料の名目で逆に1トン平均3000円を支払っていました。それでも1トン当たり1万円近くかかる産廃処理費に比べれば安いもの。同社の収益は急上昇しました。

 昨年秋、愛知県瀬戸市内に野積みされたフェロシルトが雨で流れ出しオオサンショウウオの棲息する川が赤褐色に染まりました。フェロシルトから出る放射線の危険性を指摘する声が専門家や住民からでました。

 土質検査で、フェロシルトから環境基準を超える有害な六価クロムやふっ素が検出され、産廃疑惑が表面化しました。各地の住民や日本共産党が「リサイクル品」認定の取り消しや撤去を求めました。

 石原産業の責任を追及する世論が広がる中で、廃液不正混入や「リサイクル品」認定申請時の偽サンプル提出などの不正行為がつぎつぎ明らかになりました。

 フェロシルトに含まれた放射線や有害重金属が各地に拡散されています。石原産業がもうけを上げるため、リサイクルをかたり廃棄物をばらまいた企業犯罪の実態が浮かび上がってきました。
 石原産業はフェロシルトの「リサイクル品」認定を取り下げ、今年4月製造・販売の中止においこまれました。

 産廃そのもののフェロシルトを有益無害な「リサイクル品」としてその使用を推奨した三重県の責任は重大です。今回の事件から全国的にもリサイクル品認定制度の見直しが求められています。






フェロシルト回収予定量

〈愛知県〉   販売量(トン) 回収予定量(トン) 
瀬戸市幡中地区  137,652    137,652   
瀬戸市北丘地区    97,527    81,527
瀬戸市広之田地区      2,200     2,200
瀬戸市南ヶ丘地区      1,500       1,500
豊田市深見町下田地区     11,000              0
豊田市深見町岩花地区      5,000       5,000
豊田市西中山地区      未定       1,000
尾張旭市城山地区      未定           100
長久手町前熊地区      3,000       3,000 
日進市折戸地区        未定      3,000
名古屋市名東区猪高地区            40        60
常滑市金山牛新田地区       未定        30
小牧市大草地区          400       400
〈三重県〉    
亀山市辺法寺地区   131,423    131,423 
四日市市山田地区    21,564    21,564
四日市市垂坂地区    75,151    75,151
四日市市三田地区          209         0
いなべ市藤原地区   105,968   105,968 
いなべ市大安地区     6,880     6,880
久居市榊原地区     11,362      11,362  
桑名市長島地区       2,500      8,400
四日市工場       73,000 
〈岐阜県〉     
可児市久々利地区      6,800      8,000 
可児市大森地区      9,600     20,000
土岐市泉地区      4,000    32,000
土岐市鶴里地区      6,900      6,900
土岐市土岐津地区          100       200
恵那市三郷地区           30         30 
瑞浪市稲津地区     10,000    10,000 
瑞浪市陶地区          700       700
本巣市早野地区      3,100     3,100
岐阜市上西郷地区      調査中    調査中
美濃加茂地区            58         0
〈京都府〉    
京都府加茂地区     56,287      56,287  
 合 計 720,951   816,434 

 (2005年12月2日、石原産業提供資料)