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常滑 外国人客ぱったり 売り上げ10分の1 陶芸家 収入消え次作つくれず

新型コロナの影響で閑散としている空港ロビー=4日、愛知県常滑市

 日本六古窯のひとつに数えられ、NHKのテレビドラマ「黄色い煉瓦(れんが)」の舞台になった愛知県常滑(とこなめ)市。新型コロナウイルスの影響で陶芸作家から悲鳴があがっています。

 同市にある中部国際空港を利用する訪日外国人は、これまで約145万人(2018年)がいました。うち中国人が約60万人です。それが新型コロナにより、3月から中国、韓国便は成田国際空港と関西国際空港に集約。4月1日からは国際線はゼロになりました。1月に約100便あった国内線も4月から70便程度に減少しました。

 記者が訪れた4日(土)の日中、国際線出発ロビーは閉鎖され、国内線ロビーは閑散としていました。空港ビル内の商店街には「休業」、「閉店」の張り紙をしてシャッターを閉じている店が何軒もありました。

 営業している中華料理店の店長は「昨年までは中国人でいっぱいだった。休業も考えたが高いテナント料支払いのため少しでも稼がねばならない」、知多地域の土産物店の販売員は「外国人だけでなく自粛要請で日本人の客も激減。私らの給料がどうなるか心配」と話しました。

人がまばらな常滑やきもの散歩道=4日、愛知県常滑市

 より深刻なのが陶芸作家です。常滑市陶磁器会館をスタート地点にした「常滑やきもの散歩道」。道沿いに工房やギャラリーが並んでおり、昨年までは外国人観光客が狭い道に溢れていましたが、今は人がまばらです。

 陶磁器会館の職員も「昨年末には多くの中国人が来館し、高価な常滑焼でつくった今年の干支(えと)の子(ねずみ)の壁掛けや子ねずみの置物など買っていった。今はさっぱり」と話します。

 散歩道にある工房の陶芸作家(56)は「陶芸作家は画家と同じで作品を売って生活している。客が激減してどうにもならない。生活費はもちろん、次の製作費もねん出できない」。ギャラリーの女性(67)は「裏の工房で息子が作った作品を売っている。息子は各地のイベント、やきもの祭や展示会での販売が中心だった。やきもの祭りや展示会が中止になり、今は自宅兼用のここでしか販売できなくなった。収入は昨年12月の10分の1しかない。新型コロナ終息が長引くと生活できないので転職も考えなければならない」と言いました。

 日本共産党の西本真樹市議は「陶芸作家は文化関係者と同様のフリーランス。イベント会場での販売が中心で打撃を受けている。千年の伝統ある地場産業を守るために国、自治体に支援を働きかけていく」と語りました。

(4月9日 しんぶん赤旗)