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身近な公立病院守れ 再編撤回へ総ぐるみ「愛知共同行動」が懇談・要請・集会

地域医療を守ろうと開かれた学習交流会=2月29日、名古屋市中区

 「身近な病院をなくしてはダメ」―。厚生労働省が公立・公的病院の再編統合を促す424病院を公表した問題で、愛知県では「424愛知共同行動」を結成し、再編リストの白紙撤回、地域医療の拡充を求める運動を総ぐるみで進めています。

 愛知県内では再編統合リストに9病院が名指しされました。1月9日に「愛知共同行動」が発足。構成団体は県社保協、愛労連、県医労連など6団体です。名指しされた病院を訪問・懇談、関係自治体に要請しています。

 愛労連と社保協は2月29日に名古屋市内で学習交流集会を開催。医療関係者や地域住民ら40人が参加しました。日本共産党の本村伸子衆院議員が出席しました。

 集会で「共同行動」事務局長の長尾実さん(全医労愛知地区協議会書記長)が基調報告しました。住民への医療提供の維持・充実を図る公的公立病院の役割を強調し、「今回の再編統合リストは地域の実情も考えないムチャクチャなもの。病床を削減すれば補助金を出すなど、まるで医療版『米の減反政策だ』」と批判。新型コロナウイルス感染症に関連して「国内の感染者がさらに増えれば、感染症指定病床だけでは足りなくなり、公立・公的病院が活用されることになります。そのうち全国で24病院が再検証リストに名指しされた病院です。再編統合は国民の命を奪うことになるのです」と訴えました。

 「共同行動」は健保組合立病院の2病院を除く、7病院と懇談しており、その報告がされました。(別表)

 本村議員は「東南海トラフ地震で愛知県は甚大な被害が想定される。医師の確保や災害時の医療体制の充実こそ急ぐべき。地域医療を守るため全力をあげる」と語りました。

 小松民子・県社保協事務局長は「住民、病院、労働者、自治体との連帯・共同の輪を広げ、地域医療と住民生活を守ろう」と呼びかけました。

(別表)専門性理解して ■ 統廃合ありきで困惑 ■ 採用が心配

  • 「2017年の古いデータによる評価。急性期病床のみの評価でなく病院全体で評価すべき。困惑した」(東名古屋病院・名古屋市名東区)
  • 「障害者を対象とした施設であり、病院の専門性を理解してほしい」(コロニー中央病院・春日井市)
  • 「統廃合ありきの報道で困惑している。不安なのか採用内定者から問い合わせがあった」(あま市民病院・あま市)
  • 「救急患者も多く、名指しされるとは思わなかった。まさにネガテイブキャンペーンだ。発表後に臨床研修医1人から辞退があった」(津島市民病院・津島市)
  • 「事前の連絡もなく公表された。住民や患者から『病院がなくなるのか』と多くの問い合わせがある。医師・看護師の採用が心配」(みよし市民病院・みよし市)
  • 「旧木曽川町立病院で一合併時に一宮市立病院になった。名指しは遺憾。もともと後方支援病院への移行をめざしている」(木曽川市民病院・一宮市)
  • 「今年度の病院改修予定を1年延期した。患者数や職員数に影響があった気がする。改修では急性期床を減らし、回復期床を増やさざるをえない」(碧南市民病院・碧南市)

(3月5日 しんぶん赤旗)