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名古屋「ピースあいち」寄贈品展 戦争遺品 時つなぐ平和への声

展示品を鑑賞する来館者=11日、名古屋市名東区・ピースあいち

「鳥・0・三・636」と刻印された認識票

 「時をつなぐモノたちの声」―。名古屋市名東区の戦争と平和の資料館ピースあいちで第7回寄贈品展が行われています。来年1月25日まで。

■来年1月25日まで

 同館では、太平洋戦争の開戦日(12月8日)にあわせて寄贈品展を開催。これまで市民から寄せられた戦争と平和にかかわる資料は約2900点。今回は、昨年7月から今年6月までに寄せられた33人の290点を展示しています。砲弾破片や軍刀などの戦争遺品をはじめ、当時使われていた医薬品や日用品、教科書などが展示され、寄贈者の言葉が添えられています。

■ 戦争絶対行かん

 中学2年生の時、「名古屋陸軍造兵廠(ぞうへいしょう)鳥居松製造所」に学徒動員された加藤勇夫さん(89)は、その当時身に着けていた「認識票」を寄贈しました。刻印された「鳥」は鳥居松工場、「0」は学徒動員、「三」は第三工場、「636」は個人番号を意味します。

 加藤さんは「小銃の弾倉をつくっていた。空襲はいつ来るかわからない。どこで誰が死んだかわかるように全行員に配られていた。警報が鳴れば、死に物狂いで避難したよ。何をしてでも絶対に戦争にはいかん。それが私の信念だ」と語りました。

■ 民間の「特攻隊」

 戦争末期、特攻要員の確保を掲げ、民間で組織された「神風特攻継続隊」の資料も展示されています。当時18歳だった岐阜市の女性が入隊していたことが分かります。入隊許可証の日付は、1945年3月20日です。ほかに「神風特攻隊ニ無限ニ後続セントス」「華ト散ラン」などと書かれた趣意書兼入隊志願書、訓練の要綱や心得が印刷された訓示も展示されています。女性の死後、夫が遺品から見つけたもので、親族が寄付したものです。

 神風特攻継続隊は、元軍人の故常岡瀧雄氏が組織したもので、全国に呼び掛けたところ、応募者は一般の青年男女約4万人、うち3分の1が女性だったといわれています。

 訪れた女性(72)は「こんな隊があったことを初めて知りました。すごく貴重なものだと思う」と真剣な表情で見入り、「戦争遺品には、それぞれに思いが込められている。保存されている『モノ』があればこそ、事実がかき消されることなく次の世代につながる」と話しました。

 同館運営委員の吉岡由紀夫さんは「寄贈されたものは、どれも非常に貴重なものばかり。過去を知ることで、未来につながっていく。人々の記憶や心の叫びを見て、知って、感じてほしい」と来館をよびかけています。

 「ピースあいち」は地下鉄「一社」駅下車、北へ徒歩15分。午前11時~午後4時。休館日は日・月曜日、28日(土)~1月6日(月)。連絡先052(602)4222。

(12月14日 しんぶん赤旗)