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誰もがのぼれる名古屋城に 障害者ら市長に〝エレベーターなし〟抗議

 「差部、人権侵害はやめて」―。名古屋市役所前で21日、車いすや白杖(はくじょう)を持った障害者や介助員ら150人が怒りの声をあげました。河村たかし市長が2022年12月完成をねらう名古屋城木造天守化をめぐり、市の「エレベーターを設置しない」方針に抗議したものです。

 市は「新技術の開発」で対応するとしていますが、15日の市議会経済水道委員会ではめどがないことを認めています。

 抗議行動を呼びかけたのは、「名古屋城木造天守エレベーター設置を実現する実行委員会」。20日に障害者団体の提唱で結成されました。

 抗議行動では、会共同代表で愛知県重度障害者団体連絡協議会・近藤佑次事務局次長が「今あるものを壊し、新しいものをつくるならバリアフリーは当然。エレベーターは障害者だけじゃなく、ベビーカーや高齢者も気軽に使える移動手段。弱いものの立場に立った市政を求める」と強調。同共同代表の斎藤縣三氏は「障害者差別解消法に反し、人権を侵すもの。市長の態度が変わるまで続ける」と力強く訴えました。

 日本共産党市議団も参加し、江上博之幹事長があいさつ。「最上階までのぼりたいのは当然の願い。市民合意のない木造化は、いったん立ち止まり、障害者、市民の声を聞くべきだ」と述べました。

 官庁街のお昼休みから始めた抗議集会は夕方まで続きました。1000枚用意した抗議ビラは、1時間足らずで配り終えました。

 大阪から来た馬場直樹さん(26)は車いすでビラを配布。「名古屋だけの問題じゃない。大阪城はエレベーターがあって、誰もが利用できる。多様性が広まる社会で逆行した差別的な扱いに腹が立つ」と話しました。

 参加者は市役所に向かい「誰もがのぼれる名古屋城」「市長は差別やめろ」などシュプレヒコールしました。定例会見に向かう河村市長に抗議文を手渡し、「私たちの願いを聞いてほしい」と訴え。市長は「直接説明に行く」と述べるにとどまりました。

(5月23日 しんぶん赤旗)