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図書館どうなる 名古屋「再編構想」 民営化拡大に不安

 「私のまちの図書館どうなるの!?」―。名古屋市教育委員会が突然公表した市立図書館の再編構想について、市民から民営化の拡大や蔵書数の減少する声が沸き起こっています。

 名古屋市の図書館は現在、蔵書130万冊の鶴舞中央図書館(昭和区)のほか、昭和、中区を除く各区に蔵書平均9万冊の分館館(支所館含む)あります。(うち5館は指定管理)

■3タイプに分類

 市教育委員会が、社会的ニーズの変化や厳しい財政状況に対応するとして、市立図書館大改変する「なごやアクティブ・ライブラリー構想(案)」を公表したのは、6月28日の市議会・教育子ども委員会です。

 鶴舞中央図書館を核として、20の分館を5ブロックに分け、専門的サービスも担う「A」、基礎的サービスを担う「B」「C」の3タイプに再編。「C」は蔵書数を1万冊程度に削減し、「B、C」は公務員司書を引き揚げ、民営化が検討されます。

 市教委は7月26日から今月25日までパブリックコメント(パビコメ)を実施し、10月にも策定するとしています。

 まずは老朽施設が多い第1ブロック(千種、名東、東、守山、志段味)から着手。Aタイプとして星ヶ丘駅周辺新築し、あとはB・Cタイプにします。

 パブコメ締め切り直前の19日、初めて市民を対象にした説明会が鶴舞中央図書館で開かれ、会場いっぱいの100人近いが市民が参加しました。市民団体や日本共産党市議団の強い要求でようやく開かれたものです。

 参加者から「最悪の場合、Aタイブの5館だけ市直営で他の15館は民営。ツタヤ図書館問題もあり民営化は問題が多い」、「名古屋市が続けてきた1区1館制を壊すもの。専門的な情報を得るために遠くの図書館に行かねばならない。市民サービス低下は許せない」、「西区の山田図書館は子どもの本も多く蔵書7万冊。Cタイプになると本は減るし、お話会がなくなる。子どもの本離れが加速する。再編計画はやめて」、「B、Cタイプになると公務員司書がいなくなる。民間司書を配置すると言うが人数は減る。蔵書選定が偏らないか心配」など批判が相次ぎました。

 説明会に参加した守山区の男性(62)は「質疑を含め1時間半。これで市民の声を聞いたと10月には策定を強行するなど無茶苦茶」。元保育士の女性(67)は「地元の図書館で月1回、お話会を手伝っている。民営化されたらボランティアをやる気にならない」と語りました。

 公務員司書は各分館に6、7人いたのが、カウンター業務の民間委託後は半数に減りました。定年退職しても補充されず、新規採用は8年間なし。司書職員は「営利目的の民間企業の運営は適さない。何を選定するかなんど専門性は必要。司書が減り、学校図書室の援助ができなくなった。図書館予算が減らされ、新刊本など市民からの寄贈に頼っている」と語ります。

■党市議団が訴え

 日本共産党名古屋市議団は、「名古屋の文化と教養に関わる問題で、蔵書数やサービスの格差など市民の平等利用が損なわれる。市民が知らないうちにパブコメに付すのでなく、すべての図書館で利説明会をすべき」と批判し、各区の図書館前などで宣伝しています。

(8月23日 しんぶん赤旗)