ニュース

軍事研究・軍学共同に反対 益川敏英氏と松田正久氏が対談

   「NO軍事研究、NO軍学共同~大学を平和の砦に」と題して、ノーベル賞受賞者の益川敏英氏(名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長)と松田正久(前愛知教育大学学長)が6日、名古屋市内で対談しました。愛知県大学教職員・研究者日本共産党後援会(学者・研究者サポートの会)が開いた集いで、大学教員ら60人が参加しました。

 安倍政権は、2015年度に兵器開発のための基礎研究を研究者に委託する「安全保障技術研究推進制度」を創設し、今年度は予算を前年度比18倍の110億円に急増させました。

 開会あいさつで代表世話人の福田静夫・日本福祉大学名誉教授は「安倍政権は民間企業の科学技術の軍事利用のみならず、大学や公的研究機関も軍事研究に加担させようとしている。戦前、学業の途中の14歳で特別少年兵として志願ものとして、大学が軍事研究をするなど許し難い。大学の自治や学問の自由の観点からも容認できない」と述べました。

 松田氏は日本学術会議が今年4月の総会で「政府の干渉が懸念される軍事研究の否定」を明確に表明したことを紹介。益川氏に「軍事研究に対し科学者はどう対応すべきか」と問いました。

 益川氏は「軍事研究には断じて参加・加担してはならない。防衛省が出した研究費で出来た武器は戦争で使用され、研究者が戦争に加担することになる」と述べ、松田氏は「人類の文化と福祉に貢献するために学問の自由がある。戦争のための研究は違う。大学は平和の砦となるべきだ」と応じました。

 「若い研究者へメッセージ」を問われた益川氏は研究とともに戦争法や原発反対など社会運動に参加してきた経験を述べ、「科学者は一人で放っておいたら軍事を含めて研究に没頭する。研究室に閉じこもらず、様々な集会に参加し国民の声を知ることが大切。それが研究にも生きてくる」と強調しました。

 対談は安倍政権の施策や日本共産党についても語られ、松田氏は「安倍政権は改憲勢力と一体になって軍事研究を推し進めている。『共謀罪』など戦前の暗い時代に戻してはならない」。益川氏は「シールズやママの会など新しい運動が広がり喜ばしい。日本共産党が新しい市民運動とタイアップして安倍政権の悪政を止めることに期待している」と語りました。

 参加者から「調査したところ県内の私立大学で防衛省から研究費をもらっている大学はない」、「名古屋大学は1987年に『名古屋大学平和憲章』を制定し、軍事研究はしないと誓った」の発言がありました。

(6月10日 しんぶん赤旗)