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名古屋城の木造復元問題「今やるべきか疑問」

 
 日本共産党名古屋市議団が9日、6月定例市議会(14日開会)を前に中区で市政懇談会で、名古屋城天守閣の木造復元化について、市民から疑問や批判の声が相次ぎました。

 河村たかし市長は、東京五輪にあわせた「2020年7月までの完成」めざし、6月定例会に基本設計費など約10億円を盛り込んだ特別会計補正予算案を提出します。
 名古屋城天守閣は、1059年に鉄筋コンクリートで再建され、石垣の変形やコンクリートの劣化、耐震性の確保が課題になっています。市は耐震改修の方針でしたが、河村市長は「木造復元」を公約にしたことから、市民のなかに「市民生活が厳しいなか、今やるべきか疑問」、「東京五輪までの完成を急ぐべきでない」などの意見がでています。
 市は昨年12月から市内全16区でタウンミーティングを行いましたが参加者は少なく低調でした。今年5月には2万人の市民アンケートを実施。回答は7224人(回答率36・12%)と市民の関心が高いとは言えませんでした。

 懇談会で江上博之議員は、市民アンケート結果を紹介し「木造復元に賛成が62・1%でしたが、東京五輪までの完成に賛成したのは、わずか21・5%でした。市長の提案は市民に拒否された」と指摘。「急いで天守閣木造化するのでなく、まず現天守閣の耐震化、コンクリートの劣化補強をおこない、庭園を含め名古屋城全体の整備を進めるべきだ」と強調しました。
 参加した市民から「河村市長の計画では現天守閣は年内で閉鎖。来年に解体する。市民の合意のない計画は止めるべきだ」、「多くの専門家が東京五論まで4年。天守閣の解体、石垣の改修、天守閣の復元工事など最短でも10年以上かかると言っている」、「現在でも事業費は500億円を超える。東京五輪や熊本地震の復興など資材や人件費が高騰し、どんどん工事費が膨らむ」、「市民の暮らしが厳しいなか、市民生活優先の市政にすべきで、木造化は急ぐべきではない」などの意見が出されました。
 江上議員は「出された意見を議会にしっかり届ける。市民と力を合わせ河村市長の無謀な計画を止める」と述べました。
(6月11日 しんぶん赤旗)