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市民目線の図書館に 小牧

”ツタヤ式”に住民投票でノー

 
 住民投票でツタヤ図書館ノーの審判を下した愛知県小牧市。運動を主導してきた「小牧の図書館を考える会」は、ツタヤに代わる市民のための図書館づくりへ模索しています。8日に市内で開かれた集いには小牧市民や市議、県外の参加者もみられました。

 市はツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)との契約を10月30日に解消、計画見直しを表明しています。見直しは市民意見を参考にするとしていますが、議論しだいでツタヤ復活の可能性も否定していません。

投票結果尊重を

 同会の渡辺育代共同代表は、山下史守朗(しずお)市長がいまだに「検証する」としていることを批判し、住民投票の結果を受け止めツタヤ方式を白紙にするよう迫りました。渡辺氏は「図書館はお金のあるなしに関わらず知識が得られる場。知識があれば地域を変える力になる。小牧にこんな図書館があってよかったといわれるものをご一緒につくりましょう」と呼びかけました。

 集いは約20人が発言。若い母親は「子連れでお金のかかるスタバ併設の図書館に行く気にはなれない」とのべました。「ママ仲間で、今まで選挙に行ったことがない人も住民投票で反対に入れたといいます。図書館問題を通じて市政を考えてもらえるよう今度は議会の傍聴に誘いたい」と発言しました。

 別の女性は、駅前に巨大な図書館を一つ建設するのでなく、お年よりも歩いていける身近なところにたくさんあるとうれしいと要望しました。

 ?結果は出たのだから早く図書館の対案を会として示すべきだ?との発言も出ました。
 渡辺共同代表は「なぜ市直営のほうがいいのか、地域にとって図書館とはどうあるべきなのか、市民の声を聞いて議論したい」とのべました。山下市長が市民無視で計画をすすめたことから、会として一つの案を示すのではなく、まずは住民の声を集約したい考えです。

 山口県周南市の中村富美子市議(共産党)は、同市でツタヤ計画が進行中であると報告。12月にも実施設計契約を結ぶ予定で、小牧に励まされて住民投票の動きもあるとしました。

民間任せに懸念

 図書館は無料で利用できる施設。民間丸投げの指定管理はそぐわないと多くの市民・関係者が住民投票を通じて懸念の声をあげました。利益を得ようと思えば真っ先に削られるのは人件費です。

 田原図書館元館長の森下芳則氏は、公共図書館予算は90年代をピークに削減されているとし、「指定管理は乾いたぞうきんをさらに絞ることだ」とのべました。自治体直営の図書館で20年以上働いても、月額9万円の年金しかもらえない実態もあると告発。「ツタヤ図書館の4メートルの書架、上段にあるダミーの背表紙は利用者をばかにしている。小牧市の図書館員の力を信じて直営で運営してほしい」と訴えました。

(11月14日 「しんぶん赤旗」東海・北陸信越のページより)