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愛知・市民講座 ”リニア 環境でも問題”

 

「認可されて終わりではない。問題はこれから出てくる。チェックし訴えよう」。日本自然保護協会の辻村千尋氏は6日、リニアを問う市民講座in名古屋(主催・愛知市民ネット)で講演し、約80人の参加者にリニア中央新幹線の問題点を指摘し行動提起しました。

 リニア新幹線計画を進めるJR東海は8月26日に工事認可申請と、補正した最終の環境影響評価書を発表し、10月にも着工しようと前のめりです。

 辻村氏は、近年まれにみる巨大事業で、国家事業に位置付けられたのに国会でまともに議論されていない点を批判し、環境上の問題点を地殻変位・渇水・猛禽(もうきん)類保護などをあげて紹介しました。
 南アルプスは年間4?ほど隆起していますが、JRはトンネルを掘って通過しても?問題ない?としています。辻村氏は「4?の隆起は100年を平均したもので、上がる時は地震で大きく動く」と指摘。「リニアを新しく作るのではなく、活断層の上を通る現存の鉄道対策こそやるべきだ」と強調しました。

 山梨の実験線のためすでに河川、地下水の渇水が起こっていることも紹介。ダンプで水を運んで補てんしていることを写真で示し、「これが『適切な対処』となるのでしょうか」と語ると会場からため息がもれました。また、流量変化を導き出す式が古くて信頼性に欠けることも指摘しました。

 希少猛禽類の保全措置について、JRは工事の音に慣らせる「コンディショニング」を行うとしています。辻村氏は「私の知る専門家でこんなことを言う人はいない」とあきれます。JRは主張した専門家の名前を公表していません。「明らかにしなければ、科学的検証ができない」と指摘し、猛禽類の繁殖時の影響を回避して工事するとなれば、期間は数倍となることを紹介しました。

 愛知市民ネットは問題点を広く国民に知らせるため、街頭宣伝や署名活動などに取り組むとしています。

(2014.9.11)