政策

東日本大震災に伴う災害廃棄物の受入問題について

日本共産党愛知県委員会

 

大村知事は、3月19日の定例記者会見で「私自身、いろんな思いがあったが2月末に、県が責任を持ってがれきを受け入れる決意を固めた」(「中日新聞」3月20日付)と述べ、岩手県、宮城両県のがれきを受け入れる決意表明をしました。その後、大村知事は、名古屋港南5区、中部電力碧南火力発電所、トヨタ自動車田原工場に、がれきの焼却施設、仮置き場、最終処分場の建設を打診していることをマスコミに明らかにし、4月5日、細野環境大臣に対し、「本県は、広域処理の対象となる災害廃棄物の受け入れを決定し、そのための検討を別紙のとおり進めます」と回答文書を提出しています。

すでに周知のとおり、東日本大震災でぼう大な災害がれきが発生しました。岩手県で約476トン、宮城県で約1569トンとなっており、それまで両県で年間に排出されてきた一般廃棄物(岩手県約476万トン、宮城県約1569万トン)の10倍、20倍に当たる量です。被災地の復旧・復興のために、一刻も早く震災がれきを処理することが求められています。ぼう大ながれき処理を被災地だけで行うことは困難です。日本共産党は、政府が被災地での処理能力を強化することはもちろん、被災県以外も協力することがのぞましく、「広域処理」をすすめることは避けられないと考えます。

県民のみなさんが被災地への支援の一環として、安全ならがれき処理に協力したいとの気持ちもおもちだと思います。

しかし、県民に情報公開も説明もないまま、県議会での十分な説明も議論もなく「専決処分」で進められようとしている、一連の県知事の動きに対しては、関係住民をはじめ県民からは不安の声があがっているのは当然です。これまで愛知県は、昨年10月25日、12月20日と災害廃棄物広域処理に関する質問書を2回にわたって環境省に提出し、3月5日に環境省から寄せられた回答に対し、大村知事は「本県が求めている、県民の皆様のご理解とご納得を得るための情報やデータを得ることはできませんでした」とコメントしています。

豊橋市保健所は4月5日、改定前の国の暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)の2・8倍に当たる1440ベクレルの放射性セシウムを検出した茨城県産干しシイタケが岡崎市内の幼稚園の給食に使用され、豊橋市内の店頭で販売されていることを発表し、多くの県民の不安と批判がいっそう広がりました。

こうした状況の下で、放射能物質を含むがれきの受け入れに「国の基準は信じられない」「子どもの健康リスクを増やさないで」など、放射性物質への不安の声もあがっています。

がれきの処理は、どうしても広域処理が必要な場合は、その必要性と安全について、慎重な上にも慎重な検討と県民合意が大前提です。その前提を欠いたまま、安易に、一方的に「受け入れ」を表明することは許されません。

日本共産党は、災害廃棄物の受け入れについて、以下のように考えます。

1.政府と東電の責任を明確にすべきです

根本的な問題は、放射性物質に汚染された廃棄物は、福島原発事故に起因したものであり、東京電力と国に責任があるということです。にもかかわらず、震災がれきにしろ、焼却灰にしろ、政府と東京電力が処理を地方自治体まかせにし、自ら責任をもって処理方策とその体制を示していないことにあります。

放射性物質が含まれていても、一般廃棄物と同様の扱いとされる、現在の8000ベクレル/キログラムという国の基準は、昨年6月の段階で原子力安全委員会が「当面の考え方」として示したものに準拠して審議されただけのものです。これは、政府の試算でも廃棄物の処理に携わる作業者に年間1ミリシーベルト近い被ばくを容認するものです。住民の健康と安全を守る立場で、放射性物質で汚染された廃棄物の基準と、放射線防護対策を抜本的に見直し、強化する必要があります。

私たちは、政府がこうした基準や対策を抜本的に見直して、政府と東電が責任をもって安全な処理方法を示し、県民の納得と合意で実施方法を決めることを求めるものです。

2.徹底した情報公開と県民合意が大前提です

知事は、「(震災がれきを)このまま放置するわけにはいかない」(「中日新聞」3月20日付)と突然、態度を転換し、県民に情報公開や説明をせず、県民合意をないがしろにして、「がれき受け入れありき」で事をすすめようとしています。しかし、県民の不安や批判にこたえることなく、震災の復興の名のもとに、受け入れを強行することは許されません。

「がれき調査委員会」(仮称)を発足させ、受け入れる可能性のあるがれきが放射能汚染のないことを徹底的に調査するとともに、そのすべてのデータを県民に公表することが必要です。

また、環境省が示した基準値の考え方、放射線量の正確な測定、運搬時の安全性の確保、バグフィルターによる放射性物質の除去率、周辺環境への影響などについての科学的な評価・検証を行い、受け入れを前提とせず、県民にすべての情報を公開することも必要です。

こうした慎重な上にも慎重な安全・安心対策で県民合意が得られることが大前提です。

3.がれき処理の財政面を含む全面的支援については、政府と東電が責任をもつべきです

以上