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【空港】2003.01.01-01.07の動き

●中部国際空港会社は2日までに、愛知県常滑市沖に建設中の中部国際空港の事業費(7680億円)が現時点で約1000億円程度圧縮できる見通しとなったことを受け、資金負担枠組みの見直しを愛知県など一部関係機関に打診した。2004年度政府予算を概算要求する今夏に向け、関係者間で近く協議に着手する。空港会社では圧縮分全額を有利子借入金の返済に充て、経営安定を目指す考えだが、財政難の愛知県などは資金枠組みに応じた配分を求めるとみられ、調整は難航が予想される。
 空港会社では、2005年春の開港を目指して、徹底的にコストを削減した。超低金利もあって事業費の大幅圧縮にメドをつけた。圧縮分を有利子借入金の返済に回すことで、成田、関西国際空港の着陸料金より低くするという当初目標より、さらに低い料金設定が可能になり、競争力が増すとみている。
 事業費は、4割の無利子資金を国、地方自治体、民間が4対1対1の割合で負担、残りの6割を有利子で借り入れる枠組みが決まっている。このため愛知県や民間企業などは、事業費圧縮分は6割を有利子借入金の返済とし、残りは無利子資金に充て、割合に応じて減額する方式を求めるとみられる。
 愛知県幹部は「会社の主張も分かるが、県財政も苦しい。圧縮分は、出資割合に応じて無利子資金を減額する考えもあるのではないか」としている。

●中部国際空港の生ごみを肥料化して知多半島で農作物を栽培、それをターミナルビルの飲食店などが買い取る循環型のネットワーク構想を、愛知県が計画していることが3日までにわかった。空港施設を活用した全国初の試みで、空港会社や県、地元農協などで協議会を来年度に設置、具体的な構想の策定に入る。
構想によると、空港島内の飲食店などから出される野菜くずなどの生ごみを、あいち知多農協の協力を得て常滑市内の堆肥化センターで肥料に再生する。これを知多半島の農家で使い、全国出荷高1位のキャベツなどの露地野菜を育成、ターミナルビルの飲食店などが仕入れるというネットワークを構築する。知多半島では、畜産業が盛んなことから、滑走路周辺の緩衝帯などを使って牧草を栽培し、刈り取った草を牛などの飼料にすることも検討している。愛知県などでは「牛肉の産地偽装や無登録農薬の使用が相次ぎ、『食の安全』が脅かされる中、安心できる食材を提供する利点もある」としている。

●愛知万博の主会場となる愛知青少年公園に設置する超大型の太陽光発電装置を、万博閉幕後に中部国際空港のターミナルビルに移設して再活用する方針を博覧会協会と空港会社が4日までに決めたことがわかった。太陽光発電装置は約200キロ・ワットの発電能力があり、国際空港のものとしては世界最大クラスとなる。巨大プロジェクト間で施設を共有し、クリーンエネルギーの導入を進めるのは極めて異例だ。
自然との共生を掲げる万博会場では、西ゲート屋根部分に、太陽光の発電パネル約1200枚を敷き詰め、アフリカ諸国のパビリオンの電力を供給する。2005年3月から9月まで半年間開かれる万博閉幕後は、西ゲートが撤去されるため、同年春の開港を目指す空港会社が太陽光発電装置を譲り受ける。空港会社では、旅客ターミナルビル(地上4階建て)中央の搭乗施設「センターピア」(約400メートル)の屋上部分に装置を取り付ける。ビル内の冷暖房などに使って省エネ化を進め、施設運営費の削減を進める方針。
太陽光発電は発電パネルの改良が進み、クリーンエネルギーとして導入が進んでいる。国内空港では、新東京国際(成田)空港が、公共施設では最大級の約120キロ・ワットの太陽光発電装置を1999年10月に第一旅客ターミナルビルの屋上に設置、出発ロビーなどの電源として活用している。
空港会社ではこのほか、天然ガス発電による熱電併給の採用や、空港から出るごみを固形化して燃料として再利用するなど、環境に配慮した最新技術導入を進めている。中部国際空港は、海上に人工島を造成したため、計画当初から市民グループなどが「環境破壊だ」と指摘してきた。同社では「万博会場で使用されたものを安く再利用し、環境に優しい21世紀の国際空港を内外にアピールしたい」としている。

●名古屋空港を利用する航空便の機内食を製造している「名古屋エアケータリング」(本社・愛知県豊山町、大矢博司社長)は5日までに、2005年春の中部国際空港開港に合わせ、本社工場を愛知県常滑市沖の空港島内に移転することを決めた。新空港の需要増を見込み、製造能力を現在の約2倍にあたる1日最大約1万5000食に増やす方針。移転先は新空港のターミナル北側。約1万平方メートルの敷地に鉄筋3階建て延べ約1万5000平方メートルの新工場を建設する。今月中にも実施設計に取りかかり、今秋の着工を目指している。同社は、ノースウエスト航空など国内外の航空会社約20社と契約、名古屋空港の機内食を一手に引き受け、1日最大約8000食を供給している。名古屋空港の国内、国際線の定期便は新空港に全面的に移されるため、移転を決断した。従業員約230人の大半を新工場で勤務させる。現工場の調理施設は、地域の給食サービスなどに有効活用できないか検討しており、土地所有者の国などと協議していく考えだ。

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