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【空港】2002.09.24-09.30の動き

●神田真秋知事は24日の県議会で、中部国際空港の開港日を、従来予定している05年3月19日より早めたいと明言した。県企業庁が空港周辺で開発する約230ヘクタールの土地について、知事を本部長とする「中部臨空都市推進本部」を設置し、新たなまちづくりに全力を挙げる方針も示した。
 開港前倒しは今月から、県や空港会社が具体的な調整を始めた。知事は「多くの事業主体が、玉突きで工事を進めている。日程を再検討し、できるだけ早く結論を出したい」と話した。推進本部の設置は、同地域の発展を図るのが狙いで、企業誘致にも取り組む。

●扇国土交通相は27日の閣議後の記者会見で、新東京国際空港(成田)、関西国際空港、中部国際空港の民営化案について、「当事者の意見を聞くのが基本だ。(国交省としての)意見を押し付けるつもりはない」と述べ、国交省が推す「上下分離方式」を事実上、白紙撤回する方針を明らかにした。上下分離方式は、3空港を一体で整備する「下物法人」と、各空港を管理・運営する「上物法人」に分けて民営化する方式だ。関空の債務を成田の黒字で補うため、成田の着陸料の高止まりを懸念する航空業界のほか、成田と中部の関係自治体や地元財界から反対意見が相次いでいた。

●中部国際空港の建設が進む旅客ターミナルビルの概要が分かった。平野幸久社長は27日、名古屋市内で開かれた中日懇話会でその一部を紹介した。
目玉は「(空港としては)国内最大級の規模」を誇るターミナルビル4階の商用ゾーン。約1万平方メートルのフロアに、西洋と和の対照的な2つの街並みを再現する。
西洋ゾーンでは「料理の名誉鉄人」として知られる石鍋裕さんプロデュースの展望レストランが設置されるほか、世界中から集めた輸入グッズを販売。和ゾーンでは味噌煮込みうどんなど地元ならではの名店誘致を図る。浴場とマッサージなどが一体となったリラクセーションスペースも整備される。「飛行機を待つ間の時間つぶしにとどまらない施設。ぜひ、お越しいただきたい」と呼びかけた。

●中部国際空港の開港日について、中部国際空港会社や愛知県は予定より約1カ月早い「2月17日」とする方向で検討を始めた。今後、関係事業体で調整を進めるが、工事スケジュールの大幅変更や事業費増につながる可能性があり、曲折が予想される。
27日、名古屋市内で開かれた「中日懇話会」の講演で、中部国際空港会社の平野幸久社長は「日本国際博覧会(愛・地球博)は開幕1カ月前からパビリオンの物販品など最終段階の搬入が始まると聞いている。空港としても協力したい」などとあらためて前倒しへの意欲を示した。現在の開港予定日は「3月19日」で、愛・地球博の開幕日と6日間しか間隔がないため、関係者から不安の声が漏れていた。万博対応のほか、比較的、利用客が少ない2月へと前倒しすることで、名古屋空港からの移行がよりスムーズにできるメリットもある。新空港を開港するためには国の完成検査に合格した後、国際民間航空条約の規定に基づき、国土交通省が発行する航空路誌(AIP)で関連する航空情報を明示しなければならない。国際空港の場合、AIPの効力が生じる発行56日後に開港するのが通例だ。AIPは一定期間ごとに改訂版が出され、発行日は確定済み。中部国際空港が開港日を早める場合、04年12月23日発行、05年2月17日開港となる。現在、空港本体の工事は順調に進んでいるが、前倒しには鉄道、道路アクセスや電気、水道などのライフライン関係、コンピュータシステムの整備などあらゆる分野での調整が必要となる。工期短縮による建設人員増などで事業費のアップも予想される。空港会社や県、県企業庁などでこうした日程が可能かどうか検討を進めており、来月下旬の関係事業体による調整会議で見通しを報告し合う。
同空港の前倒しについては今年7月、自民党の議員協議会で、橋本龍太郎元首相が「万全の体制で万博を迎えられるのか」と懸念を表明。神田真秋愛知県知事も開会中の県議会9月定例会などで「開港を早められるよう検討したい」との意向を繰り返し示していた。

●常滑市は、行財政改革大綱をまとめた。大綱に基づき、"地方の時代"へ向けて、国際化や循環型社会への対応、財政運営の効率化、地方分権による自己決定、自己責任の行政を積極的に推進する。同市は中部国際空港開港を控えており、「空港と共生するまちづくり」のため、限られた財源を有効に活用しよう、と大綱を作成した。
基本方針は(1)効率的な行財政運営(2)成果重視の行政運営(3)人材育成の推進の3本柱。長期財政予測や空港関連税収予測を策定するとともに、民間活力の活用を進め、最少の経費で最大の効果をあげるために行政評価システムを取りいれる。また、バランスシートを作成するなど企業会計方式を導入。職員研修の充実や人事管理制度の見直しなどを推進する。 取り組みは02年度から05年度までとし、それぞれにアクションプログラムを策定。積極的な情報提供をして、職員の意識改革を進める。石橋誠晃市長は「常滑らしさを生かし、主体的にまちづくりを進めることが重要。職員一丸となって取り組む」と話していた。

●空港島や対岸部で消防・救急業務を一手に引き受ける常滑市の消防や医療施設、車両や人員・資機材はお寒い現状である。空港会社は自衛消防隊を組織するが、担当は滑走路など規制区域のみとなっている。旅客ターミナルなど公共部分は常滑市の受け持ち。周辺自治体との相互応援協定は不可欠となっている。しかし、知多半島には救急救命医療を行なう第三次救急医療施設は無い。

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