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【空港】2002.07.09-07.15の動き

●国の来年度の予算編成に向けて神田真秋知事は9日、国土交通省、経済産業省などを訪れ、中部国際空港と愛知万博の2大プロジェクトをはじめとする各施策について、予算措置と支援を要望した。神田知事は記者団に対し、名古屋空港の着陸帯(滑走路)用地について触れ「価格を十分協議して、購入が可能な金額か見極めなければならない」と述べ、金額的に折り合えば購入する考えがあることをあらためて示した。
 国交省で神田知事は、月原茂皓副大臣に対し「本年度と来年度が空港建設工事のピーク」として、本体工事費や空港島への海上アクセスとなる常滑港の整備費などの予算確保を強く要望した。中部国際空港開港後の名古屋空港問題では、国交省と県が近く「名古屋空港のあり方を考える連絡会」(仮称)を設置し、着陸帯の取り扱いなどについて詰めの協議をするが、神田知事は「(着陸帯は)特殊な用地でほかに転用できないため、かなり(価格が)低いと思っている。税金を使うのだから、高いものを買う余裕はない」と強調した。
 愛知万博関連では、経産省の大島慶久副大臣と会談。「開幕までいよいよカウントダウン。正念場を迎えており、経産省挙げての支援を」と述べ、基盤整備や催事への支援などを求めた。
 このほか、東海地震の対策強化地域拡大に伴う地震防災対策事業の財政措置や、東海豪雨で被災した庄内川などの改修工事をする河川激甚災害対策特別緊急事業費の確保を関係省庁に要望した。

●大手運送会社の佐川急便が、名古屋空港に隣接する小牧市市之久田で進めていた「配送センター」の開発計画に住民が反対している問題で、同社は、小牧市に開発を断念すると伝えた。
計画地は約3ヘクタールの農地。工期は半年で、今秋に完成する予定だった。営業が始まるとトラックが24時間出入りすることになるため、騒音や交通問題を心配する住民が、反対の署名活動を展開。その一方で、計画を推進する地元市議を含む地権者らが有限会社をつくり、同社に土地を貸す方向で調整していた。同市は当初、名空港の定期便移転後の地域振興基本構想で計画地が「広域物流機能の強化」のエリア内に指定されているため、計画を歓迎。しかし、反対運動が強まったため、佐川急便に「反対住民の理解を得ないと、開発許可申請を受理できない」と伝えていた。

●国土交通省は11日、関西国際空港の2本目の滑走路(工事中)について、とりあえず来年度予算概算要求に計画どおり盛り込んだうえで、当初予定の「2007年供用開始」についての最終判断は今年秋以降に先送りする方針を固めた。

●国内の航空会社で構成する定期航空協会(会長、大橋洋治・全日本空輸社長)が、関西国際空港の処理能力を独自に試算したところ、国土交通省が主張する「年間発着回数16万回」より1万〜2万回多くなることが12日、分かった。2本目の滑走路を建設する関空2期工事に対し、需要低迷を理由に不要論が出ているが、今回の試算はそれを後押しする格好になる。

●国土交通省は12日、交通政策審議会空港整備部会を開き、03年度から始まる第8次空港整備計画で使う24項目の「アウトカム(成果)指標」を示した。従来の計画では投資総額と重点整備事業を示しただけで、利用者にどんな利益があるかわかりにくい、との批判があったため。国交省は利用者の視点から「どこへでも」「早く」「低運賃で」「安心・安全」など7つの基本的ニーズを掲げ、それらを評価するため24の具体的指標を設定した。羽田空港の発着可能回数や平均旅客運賃のほか、「航空輸送満足度指数」「空港快適度指数」など、民間の顧客満足度(CS)調査の手法も一部採り入れたのが特徴。
また、関西、成田、中部の3国際空港の民営化に向けた「上下分離案」について、関係府県に対して実施した意向調査結果を公表した。同案は経営難に陥っている関空救済の色彩が濃く、大阪府は支持したが、千葉県は反対、愛知県は難色を示した。国交省は8月に整備部会がまとめる中間報告で「上下分離」導入の道筋をつける考えだが、調整は難航しそうだ。
調査結果では、大阪府と関西国際空港会社が「最も早く民営化の効果が期待できる」と上下分離案に賛同した。一方、成田の地元・千葉県などは「成田のコスト負担が大きすぎる。単独の上下分離が最適だ」と主張し、中部の地元・愛知県も「まだ開港前。年内に上下分離案の是非を判断するのは非常に困難」と慎重姿勢だった。
国交省は先月、上下分離案の導入後、各民間会社が公的法人に支払う施設使用料を試算した。海上空港の関西、中部と内陸の成田との間で生じた建設費の不均衡を平準化するため、民間会社の負担コストは関西が年349億円で平準化しない場合より127億円減り、中部も28億円少ないが、成田のコストは逆に154億円増えるかたちとなっている。国交省は「上下分離案が適切」との立場だが、空港整備部会のメンバーの一人は「時間をかけて検討する必要がある」と話している。
さらに、今後の空港整備の財源不足を解消する方策として、羽田や地方空港で実施している飛行機の着陸料を3分の2に軽減している本年度末までの措置を来年度以降は見直し、値上げする方針を示した。負担増となる航空会社からは反発は必至。

●国土交通省は12日までに、羽田空港の4本目の滑走路建設の財政負担の一部を、東京都のほか、神奈川、千葉、埼玉の3県、政令指定都市の横浜、川崎、千葉の3市に求める方針で本格検討に入った。羽田は国の全額負担で整備する「第一種空港」に指定されている。だが新滑走路については事業負担が重く、費用の一部を地元に要請する方向で調整していく。

●「健康と環境を守れ!愛知の住民いっせい行動実行委員会」は12日、神田県知事と意見交換し、空港考える市民の会などが「(前島に)カジノ建設が取りざたされているが、つくらないでほしい」という要望に対して、「カジノは経済界などから要望が出ているが、県として『つくる』といったことは一度もない。活性化につながる半面、教育上の問題もあり、今後の議論が必要」と述べ、土地収用について「当面は従来どおり、任意の買収に応じてもらえるように交渉を続ける」と述べた。

●新空港の空域調整問題で、陸上自衛隊明野駐屯地のヘリコプターが、新しいヘリ着陸支援システムの導入で、着陸前に待機するための空域の一部が、民間航空木の着陸コース用の空域と重なる見込み。重複で民間機の安全に支障が出るのは必至で、国交省と防衛庁の交渉は難航しそう。

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