HOME > 資料集 > 空港問題特集 >

<<バックナンバーのインデックスへ

【空港】2002.06.25-07.01の動き

●名古屋税関は6月25日、2001年度の管内5県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野)の輸出入航空貨物の物流動向調査結果を発表した。航空貨物を数量ベースでみると、輸出が前年度比16・2%減の7万5426トン、輸入は5・0%減の6万7864トンで、いずれも3年ぶりの減少で、名古屋税関は「IT不況の影響で電子部品の取り扱いが減少したため」と分析している。金額ベースでは、輸出は9549億円(7・4%減)、輸入は5308億円(8・8%増)だった。
 東海地方で通関された航空貨物の空港利用率では、輸出は成田空港が43・2%とトップで、名古屋空港が34・0%。輸入は名古屋空港が71・7%と最も利用が多かった。輸出における名古屋空港利用率は、1994年9月に関西空港がオープンしてから緩やかに減少を続けている。

●中部国際空港開港後の名古屋空港について、愛知県の神田真秋知事は6月26日、滑走路など着陸帯(110ヘクタール)を購入する方向で国と協議を進める考えを、初めて明らかにした。
この日の県議会代表質問で神田知事は、自衛隊の基地機能拡充を懸念する地元自治体に配慮して、県が名古屋空港の設置管理者になると明言。着陸帯については「国と協議しなければならない。ただ、取得できるかどうかは価格次第」と述べた。
一方、名古屋空港周辺の自治体は、神田知事の発言を好意的に受け止めている。鵜飼一郎・春日井市長と、江崎定男・豊山町長は、「知事が名古屋空港の設置管理主体になると明言したのは高く評価できる。また、着陸帯用地取得の可能性についても初めて触れており、県と連携をしながら国土交通省にも協力を要請したい」と話した。中野直輝・小牧市長も「県が設置管理者になると表明したことで、自衛隊基地拡充への懸念に一定の歯止めとなる」とコメントし、地元の要望が実現する見通しとなったことを評価した。

●中部国際空港へのアクセス道路として建設中の名古屋高速4号線の南部区間(東海線)の完成時期が当初の予定より3年遅れ、早くても08年度にずれ込む見通しであることを名古屋市が6月26日、明らかにした。05年の空港開港と愛知万博に間に合わなくなる。

●中部国際空港開港後の名古屋空港の管理を巡り、愛知県などが過去に負担してきた名空港整備費約160億円の一部を、国土交通省が県側に返還する方向で検討を始めたことが、27日明らかになった。
「空港整備法」は、名古屋空港など国の管理空港(第2種空港)の滑走路などの工事費の負担割合を、国が3分の2、地元自治体が3分の1と定めている。名空港整備では、滑走路沿いの誘導路や旅客ターミナル前舗装区域の整備などに、県はこれまでに約160億円を国に支出している。この中には名古屋市が県に支出した分も含まれている。自治体の負担金については、管理者が国でなくなった場合、国は負担額を自治体に返還できる。しかし、返還するかどうかや、返還額は国の裁量による。93年に広島空港が広島県営飛行場に移行した際、国は同県からの負担額12億円の半額を返還している。同省航空局飛行場部は「名空港に空港整備法を適用し、負担金返還の検討を始めているのは事実。県と早急に協議を進めたい。返還することになった場合でも、その額は国の財政事情などを考慮して決める」と説明している。

●中部国際空港会社は6月27日の株主総会で、第三者割当増資の実施を決めた。発行する新株は49万600株。1株5万円で発行し、総額は245億3000万円。全額を資本金に組み込み、新しい資本金額は652億1200万円となる。実施予定日は9月13日。調達した資金は空港建設費などにあてる。

●中部経済連合会と名古屋商工会議所は6月27日、国土交通省が検討している成田、関西、中部の3国際空港の経営形態を見直す「上下分離案」について、交通政策審議会空港整備部会の2回目のヒアリングに出席し、「中部は開港前であり、将来の空港経営について確実性の高い見通しができない。参加することにしゅん巡せざるを得ない」と伝え、前回より分離案に否定的な姿勢を鮮明にした。

●中部国際空港開港後の名古屋空港の管理問題で扇千景国土交通相は6月28日、愛知県が名古屋空港の滑走路を含む空港用地「着陸帯」(110ヘクタール)を取得する方針を示したことを受け「県、防衛庁、国交省の関係者間の協議を進めたい」と発言。愛知県の用地取得にむけ、価格などの調整を積極的に図る方針を明かした。同日開かれた衆議院国土交通委員会で、前田雄吉議員(民主)の質問に答えた。

●JR東海の葛西敬之社長は6月28日の記者会見で、JR東海が出資する中部国際空港会社を含めた3つの国際空港の民営化案として、国土交通省が「上下分離方式」を検討していることについて、「出資決定時の枠組みが変われば、意思決定をやり直さなければならない。出資は白紙に戻る」と述べ、反対する姿勢を示した。
JR東海は、中部空港を「上下一体」で整備・運営するため1998年に設立された中部国際空港会社に、地元財界代表として40億円出資しており、持ち株比率は2・84%で第四位の株主。葛西社長は国鉄時代に分割民営化を推進した経験を持ち、この日の会見で「上下分離方式には懐疑的だ。イギリスでも鉄道分野で大失敗に終わっている」と批判した。

●国際空港の民営化に関する国土交通省のヒアリングが6月28日行われ、「上下分離」案について、中部国際空港会社は「全体としての評価が困難であり、参加の可否を早急に判断することはできない」との立場を示した。
国交省は先に、同案だと民間会社が支払う年間経費が成田で増加する一方で関西、中部は減少するとの収支試算を示しているが、同社は「負担軽減自体はメリットとして認識している」としながらも「開港前で、具体的な経営実績に基づいた試算はできない。出資者の関心事項である出資分の取り扱いなどの方向性が明らかにされていないため、上下分離案の評価は困難だ」とした。さらに「主要民間株主からも経営形態の変更は開港後に運営状況も踏まえて主体的に判断すべきではないかとの意見を受けている」と、早急な態度決定はできないとの姿勢を強調した。

▲ このページの先頭にもどる