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【空港】2002.05.28-06.10の動き

●中部経済連合会と名古屋商工会議所は5月29日、国土交通省が検討している成田、関西、中部3つの国際空港の「上下分離案」についてのヒアリングで、「中部国際空港に大きなメリットがなければ、(上下分離案に中部が加わることは)困難だ」と慎重な姿勢を示した。
 ヒアリングは同省交通政策審議会の空港整備部会が行った。中経連の木下喜揚専務理事と名商の工藤尚武専務理事が出席し、「中部はまだ開港前で、他の2空港並の見通しがたたない中で、案を議論して行かなければならない」などと制度変更が困難な理由を説明した。

●中部国際空港会社は5月30日までに、空港工事を巡る談合情報について実名報道された場合、落札予定とされた業者に対し、社内調査の実施と、調査結果の公表を義務づけることを決めた。国土交通省は「これほど踏み込んだ規定を設ける例は聞いたことがない」としている。新たな規定では、こうした報道があった場合、公正取引委員会に通報するとともに、報道された疑惑についての速やかな社内調査、結果の公表のほか、談合の事実がなかった場合は、誓約書の提出を求めている。規定を守らない場合、空港会社は、空港関連工事の契約は結ばない。一方、調査の結果、名誉棄損があれば、報道機関に対し、提訴などの措置を取ることも求めている。同社は、今年度から空港施設の工事が本格化するのを受けて、さらに談合対策を強化した。

●国土交通省は5月31日、策定作業を進めている第8次空港整備計画(8空整)に、地方空港の具体的な整備計画を明記しない方針を固めた。7空整(96〜02年度)までは具体名を列挙して計画内容を明記していたが、「空港整備の必要性を住民などに説明していない」との批判に配慮し、滑走路建設(延長)に必要な条件などをまとめた「整備指針」を示すにとどめる。8空整では、継続事業以外の地方空港の新設は原則として凍結し、羽田の再拡張計画や関空2期工事、中部国際空港の建設など「大都市圏拠点空港」の整備が軸になる見通し。発着回数が多い新千歳、福岡、那覇の3空港は「主要地域拠点空港」と位置づけ、まず既存施設の見直しや近隣空港の代替利用などで実質的な発着枠を確保することになる。

●中部国際空港会社の平野幸久社長は6月3日、国土交通省が検討している成田、関西、中部の3つの国際空港の「上下分離案」に関するヒアリングに対し、「中部は開港前で、他空港のように経営実績に基づいた検討を進めることは困難だ」と慎重な姿勢を示した。
ヒアリングは同省交通政策審議会の空港整備部会が行った。平野社長らは、中部国際空港について「民間活力を最大限生かすことを目標に置き、コスト削減などに成果を上げている」と説明し、「建設がピークにさしかかる時期に、経営形態の大幅な変更を検討することは、事業に影響が出かねない」と懸念を表明した。

●常滑市は4日、中部国際空港島と対岸部(前島)で、埋め立てでできた区域の町名を決め、6月議会に提案することを明らかにした。
今回埋め立てが完了、竣工認可されたのは、空港島内が3カ所、対岸部で1カ所。ターミナルビル北西側の2カ所、計約22万2000平方メートルはセントレア1丁目に編入される。また、その東側約15万5000平方メートルは、連絡道路を挟んで西側がセントレア3丁目、東側が同4丁目に設定される。まだ、埋め立てが完了していない、ターミナルと海上アクセスのふ頭南側が、同5丁目になる予定。対岸部では鉄道用地部分の、約1万7000平方メートルが新たに生じた土地。これをりんくう町2丁目に設定する。対岸部は市役所前市道を延長した線から北をりんくう町1丁目、空港島への鉄道敷南端から南部が同3丁目、その間が同2丁目となる。

●名古屋空港について、鵜飼春日井市長、中野小牧市長、江崎豊山町長は5日、防衛庁と国土交通省を訪ね、小型機専用空港化を前提に「滑走路用地などを無償か相当安い価格で譲渡か貸与してほしい」などと要望した。2省庁は愛知県と協議を続けており、明確な回答を避けた。

●国内航空会社で作る定期航空協会(会長・兼子勲日本航空社長)が、関西国際空港が建設している2本目の滑走路は当面不要とした見解を国土交通省に提示することが明らかになった。現有の滑走路1本でも離着陸時間の短縮など運用の見直しで発着枠の拡大は可能となり、将来需要増があっても十分対応できるとしている。関空は2007年をめどに2本目の滑走路の供用開始を目指しているが、実際に空港を利用する航空会社から「不要論」を突きつけられたことで、2期工事凍結論が再燃するのは必至。
同協会は、2期工事に対するこうした考え方を来週にも国交省交通政策審議会(国交相の諮問機関)の空港整備部会に提出する。その中で、羽田空港が1999年に滑走路の運用を見直し、定期便の年間発着回数を、23万5000回から27万5000回まで拡大させた例をあげ、関空も同様の措置で現行の年間16万回から22万4000回まで、約4割拡大できる余地があると試算している。
関空の需要は、国交省などが昨年、将来の伸び悩みを予測し、当初供用予定の2007年から3年先送りする案を地元に提示、昨年末には自民党などから2期工事凍結論が起こった。しかし、地元が猛反発したことから、2002年度予算編成では扇国交相と塩川財務相の折衝で、改めて当初計画通り建設を進めることで合意した経緯があった。だが、その後も成田空港の暫定滑走路が四月に供用を開始して以来、日本エアシステム(JAS)が国際線全線を成田空港に移し替えるなど航空会社の"関空離れ"が進みつつある。

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