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【空港】2002.04.30-05.06の動き

●都市基盤整備公団と愛知県常滑市は2日、中部国際空港内で働く人向けに、同市東部に計画しているニュータウン建設地周辺で、猛きん類のオオタカの営巣を確認した、と発表した。来月中に国土交通省などの事業認可を受けて着工し、現在の市民病院を移転させて、2005年開港時に一部を完成させる予定だったが、着工の遅れは避けられず、病院の開業も間に合わない見通しになった。
 公団などは対応策を協議するため、学識者らによる検討会を8日に発足させるが、オオタカの保護策などを巡って、さらに計画が遅れる可能性も出ている。公団と市は今年3月11日、建設地の環境調査で、オオタカの巣1つと、つがい1組を初めて確認したが、オオタカ保護のために具体的な場所は公表していない。ニュータウンは、空港アクセスの知多横断道路すぐ南側に広がる山林など約71ヘクタールを造成し、約五千人分の住宅などを建設する予定で、開港時はこのうち、11ヘクタールの整備を終えて市民病院も移転、開業させる計画だった。

●国土交通省は3日、来年度にスタートする「第八次空港整備計画(八空整)」で、これまで日本国内にも建設が必要とされてきた国際的な乗り継ぎ空港として使われる「国際ハブ空港」の整備について、「日本には適当でない」との考え方に180度転換する方針を固めた。新規建設、成田や関西空港などの既存空港の活用のどちらにしても、財政や環境問題の両面で国民の負担が大きくなりすぎると判断し、大幅な見直しを決めた。
八空整は国交相の諮問機関である交通政策審議会の空港整備部会で検討されており、来年度予算の概算要求が行われる今年8月末までに中間報告をまとめる。国交省が同部会に提出した今後の空港行政に関する見解によると、成田、関西、中部の各空港は、3大都市圏の最終発着需要に対応する「国際拠点空港」と位置付け。そのうえで「日本の国力、経済力に比べ、まだ脆弱で、十分な容量確保が必要だ」として、成田空港B滑走路の延長(2500メートル化)や、関空2期工事の推進など、整備の必要性が訴えられている。
国交省では国際ハブ空港の建設には滑走路1本につき「1兆円規模」の財政支出が必要とし、環境への影響も大きいため、「東アジアのゲートウエー(玄関口)を(日本が)目指す時代は終わった」と強調している。

●中部国際空港の連絡道路に直結する自動車専用アクセス道路・知多横断道路(約8・5キロ)の用地買収が一部で難航しているため、愛知県と同県道路公社は4日までに、強制収用に向けた事前手続きを始めた。
県は、都市計画決定した2000年秋から予定地の用地買収を始めた。4月末現在、必要な用地計41万5000平方メートルのうち、92%にあたる38万2000平方メートルを買収した。未買収地の地権者60人のうち46人は、基本的には売却に同意している。しかし、残る14人は、道路建設に反対する「土地トラストの会」のメンバーなどで、空港島連絡橋に近い常滑市森西町の予定地94平方メートルを分筆して所有している。同会の代表を務める庭瀬健太郎・元同市長(69)は「道路は市街地を横断し、騒音や排ガスなどの環境悪化にもつながる。今後も交渉に応じるつもりは一切ない」と、対決姿勢を鮮明にしている。このため、県は、強制収用の前提となる手続きを始め、国土交通省が3月末までに強制収用の事業認定などを告示した。県用地課は「いつでも強制収用できる準備は整った。今後も交渉は続けるが、状況が変わらなければ、県収用委員会への裁決申請に踏み切る」とし、県収用委との事務的な打ち合わせも始めた。県によると、裁決申請後、2週間の公告・縦覧や関係者の審理などを経て、権利取得と明け渡しに関する裁決を出すが、少なくても8か月は必要とみている。このため、同課では、今年度中に全面着工するには、遅くても夏前には裁決申請する必要があるとしている。

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