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【空港】2002.2.12-2.18の動き

●中部国際空港開港後、小型機専用空港(GA空港)に転用される名古屋空港について、愛知県は12日、航空会社の担当者から意見を聞く「コミュータ空港懇談会」を設置し、県庁内で初会合を開いた。出席者からは、小型機専用空港を利用して採算を合わせる難しさを指摘する声もあり、既に赤字見通しを出している県に加えて、航空会社自体も構想に慎重な見方をしていることが明らかになった。
 県は1999年から小型機専用空港のあり方について調査を続けており、昨年3月には「年間の赤字は数億円にのぼる」との見通しを示している。
 懇談会には、日本航空や全日空、中日本航空、日本エアコミューターなど6社の担当者約10人が出席した。県側から構想が説明されると、出席者からは「大都市を控えた小型機専用空港で、魅力はある」と期待の声が上がった一方、「小型機の運航会社だけが残ると、施設利用料などでの親会社の支援がなくなり、経営的に厳しくなる」「県側のある程度の支援も必要になってくるのではないか」などの慎重な意見もあった。

●愛知県常滑市は、中部国際空港会社に対し、伊勢湾常滑沖の埋め立てが完了した空港島の一部について、固定資産税を課税する方針を固めた。税額は1億円内外にとどまる見込み。
空港島は、愛知県企業庁担当分(110ヘクタール)を含め全体で580ヘクタール。空港会社が先行して埋め立てを進めた旅客ターミナルビル部分74ヘクタールは、昨年11月に法的にも陸地となり、現在はビルの基礎となるくい打ちが続いている。
固定資産税は、土地造成に要した単価や周辺にある同種土地の価格、用途などが課税額の基準となるが、今回は埋め立てが終わって間もないため建物はなく、単なる平原で税額が安い「雑種地」として計算。おおむね1億円程度になるとみて、市は2002年度一般会計当初予算案の歳入見通しに盛り込む。税額は、開港の05年度は2億円、翌06年度は18億―20億円になる見込み。固定資産税は1月1日時点で課税を決定し、関係書類の当事者による縦覧を経て、意見の申し立てがなければ課税が確定する。

●愛知県常滑市で建設中の中部国際空港と対岸部の前島・常滑ICを橋で結ぶ空港連絡道路(2・1キロ)の橋げた架設工事が本格化してきた。1月中旬から始まっており、13日早朝には4本目の橋げたが取り付けられた。同道路のうち、人員・資材輸送用として1・3キロを中部国際空港会社と同県企業庁が先行建設している。取り付けられた橋げたは全長112メートル、重量750トン。あらかじめ組み立てられて名古屋港から大型台船に積まれ、同日未明に現場に運ばれた。直立時の高さ90メートル、2050トンをつり上げ可能な超大型クレーンを使い、満潮を待ってつり上げ、橋脚にボルトや溶接で固定された。4月中旬までに14本を設置する。ルートの一部がまだ埋め立てられていないため、仮の進入スロープを建設し、8月には車両の空港島乗り入れが可能となる。

●中部国際空港の経営の在り方を提言しようと、中京大の教授たちが共同研究プロジェクトを発足させた。政府内で検討されている成田、関西、中部各空港の建設・整備主体を統合する「上下分離案」などをテーマに経営学の立場から、中部空港にとって最適な経営方式を探る。
プロジェクトは経営学部の村山元英教授(経営管理)が中心となり、中垣昇(財務管理論)、中條秀治(組織論)の2教授と経済学部の水谷研治教授(日本経済論)が加わる。昨年、政府の特殊法人改革に伴って上下分離案が浮上し、地元経済界などに波紋を呼んだことから「大学という自由の立場で議論を深めたい」として、プロジェクト発足を決めた。 今後、現地調査やシンポジウム、アンケートなどを実施し、空港本体の経営だけでなく、空港を活用した街づくりなどについて、来年3月をめどに提言をまとめる考え。
25日には愛知万博総合プロデューサーでもある泉真也氏が会長を務める「グローバル・ハブ空港研究会」から空港の専門家らを招き、名古屋キャンパスで第1回共同研究会を開く。

●愛知県企業庁が、同県幡豆、南知多両町で進めていた中部国際空港関連の埋め立て用土砂採取事業の断念に伴い、事業につぎ込んだ費用のうち、計約22億5000万円を、今年度の2月補正予算案に特別損失として計上した。土砂採取後は、跡地を工業団地などに造成し、売却益を得る予定だったが、今回の予算措置で、結果的に巨額の費用を「無駄金」と認定したことになり、見通しの甘さが改めて浮き彫りとなった。
幡豆町の用地取得費として約51億円を支出しているが、「今後、何らかの形で利用する」として、今回は損失に計上しなかった。県は、この購入用地について昨年10月に設置した「幡豆地区土地利活用調査研究会」で協議し、今年度内に利用法を決定する予定だったが、急斜面のため、利用のメドは全く立っていない。
愛知県企業庁の加藤静宏経営管理課長は「大きな損失を生んだことは残念だが、今後の空港関連事業でこの穴を補っていきたい。また、取得した山林についても、"塩漬け"にならないよう、できるだけ早く活用方法を決めたい」としている。

●名古屋空港周辺に位置する春日井、小牧と豊山3市町は15日までに、中部国際空港開港(2005年)後のGA空港としての名古屋空港のあり方を考えるため、全国地域航空システム推進協議会に今年度中に加盟する方針を固めた。
同協議会は、地域空港を抱える全国の自治体や航空事業者が加盟する任意団体で、小型航空機を活用した地域航空(コミューター航空)に関する調査・研究を実施している。新年度には、名古屋空港の今後の活用策についても、国などに要望活動をする予定という。
3市町では、名古屋空港のGA空港としての活用策が本格化に議論される来年度以降の動きに合わせて、地域航空事業者、自治体との連携を強める目的で加盟を決めた。

●中部国際空港の管制塔など2工事にからむ談合疑惑について、国土交通省大阪航空局は15日、談合の事実が確認できなかったとして、延期していた入札を18日に行なうことを決めた。

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