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署名偽造 認否を留保 愛知リコール不正 事務局長ら初公判

 愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)をめぐる偽造署名事件で、地方自治法違反に問われている署名団体「愛知100万人リコールの会」事務局長の田中孝博被告(60)=日本維新の会前愛知5区支部長、元県議=、次男の雅人被告(29)の初公判が24日、名古屋地裁(板津正道裁判長)で開かれました。

 田中被告は認否について「弁護士から説明してもらう」と述べ、弁護士は「認否を留保する」としました。雅人被告の弁護士は「客観的事実に争いはない」と述べました。

 検察は冒頭陳述で、正規の署名が思うように収集できず、田中被告が署名の偽造を企て、雅人被告に指示し業者から名簿を購入させたと指摘。昨年9月時点で正規の署名数は6073人だったと明らかにしました。

 検察は田中被告が「しょせん署名なんていちいち本人に確認しないし、こんなことみんな普通にやっている。リコールが成立しなければ署名簿も戻ってくるので、ばれない」などと述べ、署名を偽造するための人集めを依頼したと言及。偽造作業に当たって第三者に漏れるのを防ぐため、アルバイトに携帯電話の持ち込みや資料の持ち出しを禁止する誓約をさせたなどと主張しました。

 リコール運動は、芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の展示内容を理由に、展示を許可した大村知事のリコールを河村たかし市長や高須克弥医師が呼びかけたもの。

 県選管の調査では、提出された署名約43万5000人分の内8割超に当たる約36万人分に不正が疑われ、有効と認められないものだったことが判明。同じ筆跡とみられるケースや、すでに死亡した住民の分も含まれていました。

 河村市長は県と市が力を合わせてコロナ対策に取り組むべき時に、リコール署名を推進。名古屋市議会で6月、日本共産党の江上博之議員が「かつて主導した市議会解職請求で署名集めを担った人の名簿を運動団体に提供しており、責任を免れない」などの報道に触れ、「市長には事件への政治的道義的責任がある。市民に謝罪すべきだ」と追及しました。

(9月25日 しんぶん赤旗)