政策

雇用問題等での要請書―厚生労働大臣宛

厚生労働大臣 長妻 昭 様

日本共産党愛知県委員会 委員長 岩中 正巳

依然として、愛知の厳しい雇用状況は変わっていません。3月2日公表の愛知労働局の調査では、派遣切りなどで2008年10月から、2010年3月までに職を失う非正規労働者(2月18日時点)が4万3059人にのぼり、全国一の数となっています。有効求人倍率も、2010年1月は0・54倍となっています。県の今春卒業予定の大学生の就職内定率は2009年12月末で64・6%と極めて低い状況となっています。

今日、安定した雇用確保、地域経済の活性化は不可欠となっていますが、それに反する種々の状況について、以下のことを要請します。

1、労働者派遣法の抜本改正について

新政権が準備している労働者派遣法の改正案は、多くの問題点をもっています。

労働者派遣法を、派遣から正規雇用への道を開く、派遣労働者の雇用と権利、生活を守る保護法に変えていく立場から、(1)改正案の「常用型派遣」を「禁止の例外」とする規定を撤回する、(2)「専門26業務」を抜本的に見直し、専門性が高く、派遣労働者に交渉力がある業務に限定する、(3)派遣先企業による事前面接を解禁するなど規制緩和をすすめる改悪部分を撤回する、(4)実効ある「みなし雇用」規定にするなど派遣労働者の雇用と権利を守る実効ある改正案にするなど、抜本的に修正してください。

2、アイシン精機のサービス残業の是正と未払い賃金の支払いについて

日本共産党は昨年、アイシン精機のサービス残業を刈谷労働基準監督署に告発し、その後、数回にわたって、刈谷労基署、愛知労働局に対し、再発の防止と賃金未払いの解決を求めてきました。

アイシン精機は過去にもサービス残業で是正指導を受けており、8年前には、2年以上違法行為を行っていながら、一律6か月分の未払い賃金の支払いしか行っていません。

(1)違法行為が繰り返される実態について、厳正に調査を行い、二度と違法行為が行われないように、門前と職場へのカードリーダの設置など抜本的な対策をとるように、厳しく対応してください。

(2)この3月にも会社から労働者に対し未払い賃金の支払いが予定されているとの情報がありますが、8年前のような理不尽な部分的支払いでなく、実態に即して、2年以上の違法行為に対しても、少なくとも2年分の未払い賃金の支払いを行わせるように、厳しく対応してください。

(3)また、大企業が違法行為を繰り返している現実を直視し、労働者からの申告や情報提供を待つことなく、定期的に大企業に対する調査、指導を行うように、職員の増員など体制の充実も図ってください。

3、地域職業訓練センターの廃止について

政府は、地域職業訓練センターの設置及び運営について、昨年12月25日付能発1225第7号において、各都道府県に対し「平成22年度末をもって廃止する」との通知を行いました。

愛知県内には、5カ所の地域職業訓練センターがあります。それぞれのセンターは、伝統的な技術の継承をはじめとした、地域経済の活性化に大きく寄与しています。働く人たちが無料あるいは安く、新たな技術の獲得をする機会を増やすこと、地域職業訓練センターの機能を拡大することこそ必要であり、廃止は安定した雇用確保、地域経済の活性化に逆行するものです。

地域訓練センター廃止の方針を撤回するとともに、働く人や離職者が利用しやすい機能をさらに拡充してください。

4、高年齢者職業相談室の廃止について

行政刷新会議の作業グループは昨年11月16日、高齢者の就業を支援するため自治体に相談窓口を設置する厚生労働省の「高年齢者職業相談室運営費」を「廃止」と判定しました。この結果、愛知県内にある、名古屋市の相談室は3月31日、大府市と豊田市にある相談室は3月29日に廃止される予定です。

豊田市では、市の「豊田市就労支援室」と併設されていることにより、相乗効果で、新しい情報が入手しやすく、実績もあげていました。専門知識をもった職員の方のノウハウも生かされていました。今回の廃止はそうしたせっかくの人材を失うことにもなります。

高年齢者職業相談室運営費を復活し、高年齢者職業相談室事業を継続してください。

以上