愛知民報

【18.03.18】西尾方式PFI事業 大幅見直し、市民要望反映 17年市議選 共産議席倍増が力に

 中村健西尾市長は5日、PFI事業の大幅な見直し方向を発表しました。同事業は、2017年の市長・市議同時選の大争点に。市長選ではPFI事業をすすめた現職を倒し新人の中村健市長が当選。市議選では同事業賛成派の自民系候補は減票、見直しを掲げた候補が上位当選しました。同選挙で2議席に倍増した日本共産党市議団は、PFI見直しを求める市民の会と力を合わせ市政を動かしています。(本紙・錦見友徳)

新吉良支所棟。市は新支所の民間有料フィットネスクラブ計画を中止し、子育て支援や生涯学習の施設として活用を検討=6日、西尾市

安倍に痛打

 PFI方式の公共事業は、安倍政権の成長戦略の柱の一つ。本来地方自治体が担う公共事業や公共サービスを民間企業へ委託し儲け口とするものです。前市長がすすめた西尾方式PFI事業は市が所有管理する多くの施設を、PFIのためにつくられた特定目的会社(SPC)「エリアプラン西尾」に総額198億円、最長30年間も丸投げするという全国最大級のPFI事業でした。
 今回の西尾市のPFI大幅見直しは、安倍経済政策のゆきづまりを示すものです。

 

検証報告書

 中村市長は、PFI事業を検証するチームを庁内に組織し、詳細な報告書をまとめました。
 同報告は「本件PFI事業契約書は、建物の新設、改修、解体、施設の運営、維持管理を包括的に含むものであり、非常に抽象的で曖昧な内容となっている。随所で西尾市契約規則が守られていない」と指摘しています(詳細は西尾市ホームページに掲載)。
 5日会見で中村市長は、市民との意見交換会や市民アンケートなど市民の声を重視したとし、「大幅な変更になったが、広く市民に受け入れられる方針になった」と述べました。

 

中止事業

 今回の見直しは、市民の要望と運動を反映したものです(表)。
 PFI方式は、民間業者側から提案が市当局に持ち込まれます。今回中止、見直し方向が示された事業は、エリア社が市に対し提案したものです。
 市民から批判が集中したのはエリア社の営利事業となる提案でした。これを市は中止、見直しとしました。

 

実行これから

 市の見直し内容は、同時選直後の17年7月、本紙・愛知民報が日本共産党の前田修市議に取材し報道した問題点を裏付けた形です。 前田議員は、今回の見直しについて「PFI事業に対する市民の批判を反映したものといえます。エリア社からの営利提案を中止し、代替として市民要望の強い子育て支援を検討するなど前向きに評価できる」としています。
 前田氏は、「今回の見直しに対し『費用が示されていない』と批判する報道もあるが、もともと総額198億円の根拠が不明瞭だった」と話します。
 牧野次郎同党議員は、「事業見直しの実行はこれから」として、「市議会最終日の22日、今回の見直しを含む予算採決で、見直しに抵抗してきた自民系議員などの対応が問われます。さらにエリア社との具体的交渉となる」と語っています。

 

西尾市が示した見直し方向

 ●寺津に温水プールを建設し7小中学校のプールを廃止する計画は、温水プール新設中止、小中プールは存続する。
 ●新設された吉良支棟に民間フィットネスクラブを導入する計画は中止。新支所棟については建設済みであり市は一括購入。新支所は子育て支援や生涯学習の機能を検討する。
 ●吉良スポーツドームは建設しない。スポーツ機能は、吉良公民館解体後に建設する、きら市民交流センターアリーナ棟に集約する。
 ●耐震工事をしたばかりの一色支所を壊し10階建ての市営住宅を建設する計画は、市営住宅建設を中止、同支所については再利用するか解体するかを含め検討する。
 ●160施設の維持管理業務を15年間委託する計画はすでに開始されており当面継続。効果が判明した時点で再検討する。